今でも日常的に使われるPDMやSEU、DFU。親しみ慣れた環境ではあるが、日々の開発や運用で細々とした課題や問題に悩むユーザーもいるだろう。
アイエステクノポートでは、そうしたユーザーの課題解決に向けて、今年4月、3つの新製品および新バージョンを発表した。
「当社の全ソリューションと同じく、いずれもIBM i上で稼働し、別途にPCサーバーを導入する必要はありません。しかも5250画面でありながら、GUI画面とマウスによる操作が可能である点も大きな特徴です」(金澤 廣志 氏 代表取締役社長)
以下に、3つの製品が目指す課題と解決策を紹介しよう。
「i-SM4d」による
ソースの世代管理と自動バックアップ
PDMを利用していると、こんな悩みはないだろうか。たとえばソースを誤って削除してしまい、復元できない。ソースの世代管理、あるいはソースについて「誰が、いつ、何を」修正したかが管理できない、など。
世代管理やソース管理を実行する最新ツールは登場しているが、従来からのPDMによる開発方法を変更せずにソースの世代管理、開発実績管理、自動バックアップを可能にした新製品が「i-SM4d」である(図表1)。
PDMからソースの「2:編集」「4:削除」「17:SDA」「19:RLU」を、またはコマンド・ラインから「STRSEU」「RMVM」「STRSDA」「STRRLU」を実行したときに、ソースを自動バックアップする。つまりユーザーは今までどおり開発作業を進めるだけで、「i-SM4d」が自動的にバックアップを取得しているのだ。
これにより誤ってソースを削除しても、ソースの復元が可能である。ソースの世代管理や変更管理のほか、最新の開発管理一覧をCSVで出力し、システム監査時の資料としても活用できる。
Db2 for iのデータ保守ツール
「i-T4db」
他のサーバーやPCとデータをやり取りするとき、不定期にデータエラーが発生していないだろうか。またクラウドサービスを利用する場合も、データの不整合があるとエラーが発生する。
データを交換する相手先が増えるほど、データの整合性チェックや修復などに工数を要する。またファイルやデータが大量であれば、すべてをチェックするのは至難である。 エラー箇所を特定できても、DFUでは画面エラーで修復できないエラーもあり、その都度、修正用プログラムを作成するため、さらに手間がかかる。
そこで汎用的かつ高機能なデータ保守ツールとして登場したのが、Db2 for i向けパッケージの「i-T4db」である。同製品は、大きく2つのデータ保守機能を搭載している。
1つは「CHKPFDTA」と呼ばれる、物理ファイルデータの整合性をチェックする機能。シフト文字やフィールドの整合性チェック、不正文字の検出を行い、ログに出力する。さらにエラー修復機能でシフト欠けなどの軽微な不整合を修復でき、データの不整合に起因する障害を大幅に軽減できる。
また特定のライブラリ内、ライブラリリスト内、すべてのライブラリ内のファイル、先頭文字が一致するファイル名など、柔軟な指定で一括チェックが可能である。他サーバーやクラウドとの連携時の不正データ対応、さらには他データベースからDb2 for iへのデータ移行に際しても非常に有用である。
もう1つは「EDTDTA」と呼ばれる、データベースレコードの編集機能(図表2)。DFUで修正できない不正データの表示・編集、16進数と文字の双方による編集、レコードの編集・追加・コピー、132桁の広い画面での編集などに対応する。データエラーの修復以外にも、データの確認やテストデータ作成の効率化といったニーズに対応できる。
Db2 for iのデータ抽出変換ツール
「i-D2cx」
4月に新バージョンとして登場した「i-D2cx」は、大きく2つの変換機能をサポートする。
1つは「CVTD2C」と呼ばれる、SQLベースの高度なCSV変換機能(対話型で定義を作成)。もう1つは「CRTOPNFF」と呼ばれる、レコードI/Oベースの多機能な型式変換コマンドである(定義なしで実行)。この2つを組み合わせて、要件に応じた柔軟なデータ変換が可能になる。
たとえば月次データをQueryで取得し、CSVに変換しているが、条件を毎回変更するのが煩雑な場合。「CVTD2C」によりパラメータで条件値を設定すれば、定義を変更することなく、実行時に抽出条件を指定できる。さらに計算式や欄見出しも、Query同様に指定可能である。
CSV以外のデータ形式が必要な場合には、「CRTOPNFF」が代表的なオープンフォーマットであるExcel(xlsx)、XML、JSONに変換する。CPYTOIMPFで全件をCSV出力していたが、特定条件のレコードや特定のフィールドを出力したい場合にも、データ抽出条件を柔軟に指定できる。
またデータの不整合によって、5250エミュレータのデータ転送機能が変換エラーで中断したり、CPYTOIMPFが途中で異常終了するケースがある。このような場合でも、「CRTOPNFF」は回復可能エラーであれば処理を継続できる。エラーはCSVなどの出力ファイル内に記録され、問題箇所の判別に役立てられる。
このように簡単な操作でデータを抽出し、周辺システムとの連携ニーズに対応していけるのが大きな特徴である。