ウォーターフォールの経験を携え
アジャイル開発を学ぶ
人財育成のニーズに応じた多彩な研修コースを提供するアイ・ラーニングが、2020年1~3月の開始予定で企画を進めているのが、「ウォーターフォールPMのためのアジャイル」である。
「昨今、基幹システム構築プロジェクトなどで、ウォーターフォール型開発経験の豊富なベテランのプロジェクトマネージャーがなかなかアジャイルの世界に馴染めない状況を見て、このコースを企画しました。これまでのウォーターフォール型開発で蓄積した膨大な知的資産や経験を活かし、アジャイル・メンバーや組織の行動規範を確立しながらチーム力を育て、最終的に顧客に満足していただき、信頼を得るアジャイルの世界とは何かを考える研修です」と語るのは、同コースを担当する森滋氏(デジタルプロフェッション事業部 バリュークリエーション部 ラーニング・プロフェッション)である。
2019年8月に、トライアルとしての無償セミナー「アジャイルの『はじめの一歩』を踏み出すためのアプローチ」を開催した。講義とディスカッションで構成される約3時間のセミナーは狙いどおりに、ウォーターフォール開発の経験豊かな50名以上のベテラン開発者(主に40代以上)が参加。内容は非常に好評で、このときのディスカッションで出された意見や課題認識が、新コースの内容に色濃く反映されている。
2020年3月からスタートする新コースは、講義型の「ウォーターフォールPMのためのアジャイル~トランスフォーメーションへの挑戦」(0.5日)と、演習型の「ウォーターフォールPMのためのアジャイル~トランスフォーメーション実践演習」(1.5日)で構成されている(別々のコースとして受講可能)。
前者は、「アジャイルとは何か」から始まる概要と考え方を学び、最後に受講生自身がアジャイル宣言をする。後者の実践演習では4~5名のチームに分かれ、モデリングツールを使って、ウォーターフォールからアジャイルまでのシームレスなプロジェクトプランニングを体験する。
ここでは図書館システムの開発を課題に、フェーズ1ではウォーターフォール型プロジェクトによる初期開発、フェーズ2ではアジャイル型プロジェクトによる追加開発を想定し、どちらのフェーズでも同じモデリングツールを使って、WBS(Work Breakdown Structure:プロジェクト計画表)を作成する。フェーズ1の計画・実績データを使いながら、フェーズ2では追加要件をアジャイルで開発するための複数のイテレーションを作成し、実行する。
そして作成したイテレーションをもとに、ガントチャートや組織ごとのコスト割合、成果物達成予測などを自動作成し、ウォーターフォールとアジャイルの違いやポイントを実践的に理解していくというカリキュラムだ(図表1)。
アジャイル型開発そのものを学ぶ研修は一般に数多く提供されているが、ウォーターフォールの経験豊富なPMを対象にし、ウォーターフォールからアジャイルへの移行(トランスフォーメーション)の勘所を学べる点が、ほかに例のないユニークな企画であると言えるだろう。
学びの多様化に向け
多彩な研修方法を提供
一方、学びの多様化、そして地方への学びの場の提供という観点でアイ・ラーニングが注力するのは、「サテライトクラス」「オンラインクラス」「e-ラーニング」の拡大・充実である。
サテライトクラスでは、東京で開催しているクラスルーム形式の研修を、全国各地のサテライト会場で同時に受けられる。交通費・出張費の削減のみならず、移動時間も不要、受講タイミングを逃さないなどのメリットがある。
同社ではこれまで東京で開催するクラスを、自社施設である大阪会場に配信していたが、2019年5月に福岡、11月に広島で開設。2020年上半期には札幌・名古屋でオープンする予定で、サテライトクラス研修の拡大に取り組んでいる。
東京のコースを同時配信し、動画配信ソフトである「Zoom」を使ってサテライト会場内にある大型モニターと書き込み可能なインタラクティブディスプレイ(電子ホワイトボード)に映し出す(図表2)。
実際のクラスルームと変わらない臨場感があると、受講者に好評だ。双方向なので、マイクを通じて講師に質問でき、演習付きのコースではリモートでクラウドやサーバーに接続して機械実習を行う。
一方、こうしたサテライト会場にアクセスできない地方の受講者に対して提供されるのが、オンラインクラスである。受講者各自のPCから、クラスルームと同じコースをリアルタイムに学ぶ。いわばサテライトクラスの拡張モデルで、会場に足を運ぶことなく会社、自宅、出張先とどこからでも受講できるのが魅力である。同社では2020年4月からの開始を予定している。
そして、ここまではすべて生放送、リアルタイムな受講であったのに対し、いつでも好きな時間に好きな場所で学べるのが、e-ラーニングである。
「すでに約30コースを提供しており、最近はIBM iやDb2、IMSやCICSなど、当社の強みであるIBM関連のe-ラーニングコースを拡大させているのが特徴で(図表3)、2022年までに100コースにするべく企画を進めています」と語るのは、ブランドプロモーション本部の川村達也本部長である。
学びの多様化、地方への学びの場の提供、そして働き方改革やDX人財の育成など、新たな教育ニーズに対応すべく、アイ・ラーニングは研修コースの充実に取り組んでいくようだ。
提供:株式会社アイ・ラーニング
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