経済産業省は、2012年から「ダイバーシティ経営」の推進活動を行っている。このほどダイバーシティ経営実践のための各種支援ツールを改訂し、「改訂版 ダイバーシティ経営診断ツール」を公開した。
ダイバーシティ経営とは、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」(経産省の定義)を指す。具体的には、女性、外国人、高齢者、障がい者、性的少数者などが個々に多様な能力を発揮し価値創造に参画していくことだが、ダイバーシティ経営を実践している企業とそうでない企業との間には、企業の業績や働きやすさなどで大きな差が生まれていることが示されている(下図)。
ダイバーシティ経営は、ITプロジェクトのチームビルディングやリーダーシップにも大いに参考になると思われるので、今月(2021年3月)公開の「改訂版 ダイバーシティ経営診断ツール」を中心に紹介してみよう。
「改訂版 ダイバーシティ経営診断ツール」は、
・「改訂版 ダイバーシティ経営診断シート」(Excel版・PDF版)
・「改訂版 ダイバーシティ経営診断シートの手引き」
の2つで構成される。
「改訂版 ダイバーシティ経営診断シート」は、ダイバーシティに対する経営方針や人事管理制度の整備、現場管理職の取り組み、組織風土などの30項目について4段階で自己採点し、自社の状況を見える化するためのもの。ダイバーシティ経営への施策・対応策を検討するための基礎データとなるものだ。
一方、「改訂版 ダイバーシティ経営診断シートの手引き」のほうは、「診断シート」の作成手順や留意点をまとめたものだが、ダイバーシティ経営がなぜ必要か、ダイバーシティ経営に取り組む意義と効果、ダイバーシティ経営を実現するためのプロセス、組織体制などについてわかりやすく、コンパクトにまとめている。
ダイバーシティ経営を実現するためのプロセスについては、❶「経営理念・方針・戦略の明確化」→❷「経営者の取り組み」「人事管理制度の整備」「現場管理職の取り組み」間の循環・繰り返し→❸「取り組みの振り返り・改善」→❹「組織風土の醸成」のステップが不可欠であることを説いている。
また「組織風土の醸成」については、「インクルージョン」の重要性を強調している。人が多様化しただけでは価値が生まれず、メンバーの1人ひとりが尊重され活躍の場が与えられていることが必要という。
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