サブスクリプション用プラットフォームを開発・販売しているZuora Japanは、11月26日、「サブスクリプション・エコノミー・インデックス2020年日本語版」を公表した。
「サブスクリプション・エコノミー・インデックス(以下、SEI)」は、Zuora製品を採用してサブスクリプション・ビジネスを展開する企業の業績を、米国のS&P(スタンダード&プアーズ)500社の業績と比較したもの。米Zuoraでは2016年から半期ごとにSEIを公表しており、今回の日本語版は、最新の「The Subscription Economy Index 2020 September」の翻訳である。
SEIの調査手法はZuoraが独自に考案したもの。調査対象としたサブスクリプション採用企業数(インデックス構成銘柄)などを非公表としているため(25社を最小数とする、との記述はある)正確な確認は行えないが、アイマガジン編集部が実施したサブスクリプション導入企業へのヒアリング結果と同様の傾向を示しているので、紹介してみたい。なお、調査手法については「2020年日本語版」(こちら)の末尾に説明がある。
今回の2020日本語版によると、サブスクリプション採用企業の2020年第2四半期の業績は対前年同期比17.8%増。これに対して、製品販売をベースとするS&P 500社の業績は3.1%増で、サブスクリプション採用企業が段違い(5.7倍)の高成長を示している。また、販売契約数で見ると、S&P 500社が-10%とマイナス成長であったのに対して、サブスクリプション採用企業は12%増と2ケタ成長で、「サブスクリプションモデルが成長を後押ししている」と、Zuoraは指摘する。
下の図表は、2012年1月初めの業績を100%とした場合の、SEI企業、S&P企業、米国小売企業それぞれの2020年第2四半期の業績である。サブスクリプション採用企業は2012年からの8年半で4.3倍、S&P 500企業は1.3倍で、サブスクリプション採用企業が一貫してS&P 500企業を凌駕している。
今回の調査対象期間(2020年4~6月)は、新型コロナウイルスの影響が世界規模で拡大した時期に重なる。これに関して2020年日本語版は、「サブスクリプションはパンデミックの渦中でも、全般的にレジリエンスを維持した」と、注目すべき知見を述べている。そしてその証左として掲げているのが下のグラフで、S&P 500企業はこの時期、対前年同期比-10%であったのに対して、サブスクリプション採用企業は12%増となり、明暗を分ける結果となった。
また、サブスクライバー(サブスクリプションの利用者)の増減を見ると、2020年第1四半期は3.2%増へと落ち込んだものの、第2四半期は12.0%増と、2019年第3四半期の水準へ回復している。
以下、分野別のデータを紹介したい。図中の赤線はサブスクリプション採用企業、黒線はS&P 500企業の動きである。
SaaS企業
製造業
メディア業界
出版業界
テレコミュニケーション業界
企業向けサービス業
IoT企業
医療
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