ミガロ.は、ローコード開発ツール Valenceに生成AI機能「Valence AI Assistant」を搭載した新バージョン「Valence 6.3」を10月にリリースする。IBM i対応製品で生成AI機能を統合した製品は初めて。
Valenceは、IBM i対応のWeb/モバイルアプリケーションを「データソースの作成」「ウィジェットの作成」「アプリケーションの作成」という3つのステップで開発できるローコード開発ツール。ミガロ.は2018年から販売している。
従来は、各ステップともウィザードに従ってノーコードで開発を進める方法だったが、今回のValence AI Assistantを使うことにより、自然な日本語で指示(質問)するだけで各ステップの作業を完了できるようになった(RPGによる独自ルールなどの追加実装も可能)。
新バージョンValence 6.3は、IBM i上の「Valence 6.3」、クラウド上の「Valence AIサービス」、クラウド上の「大規模言語モデル」(生成AI)の3つの要素で構成されている(下図)。
Valence AI Assistantは、Valence 6.3に統合されている生成AI用のソフトウェア。開発者はValence AI Assistantを起動し、対話式にやり取りしながら開発を進めることができる。
クラウド上のValence AIサービスは、利用者が投入した指示文を大規模言語モデルで処理するための前処理用のプログラムで、Valence独自の情報を追加する。
大規模言語モデルには「ChatGPT-4o」(OpenAI社)を採用している。「今回はChatGPT-4oを利用していますが、Valence AI Assistantは柔軟なアーキテクチャなので、よりよい大規模言語モデルが登場した際はいつでも切り替え可能です」と、ミガロ.はValence AI Assistantの柔軟性と拡張性について説明する。
またセキュリティについては、ValenceからValence AIサービスへ送信されるデータは、ファイル名、フィールド名、説明などのメタデータに限られ、HTTPSプロトコルで暗号化されているので、「IBM i上の実データが外部に公開されることは一切ない仕組みです」と説明している。
Valence AI Assistantは、Valence 6.3の標準機能として提供され、Valenceの保守契約を結んでいるユーザーであれば無償でバージョンアップできる。生成AIをコスト面で身近にする施策という。
現在多くのIBM iベンダーが自社の製品・サービスに生成AIを適応させる取り組みをスタートさせている。Valence 6.3/Valence AI Assistantは、“IBM iの生成AI時代”の口火を切る製品となりそうである。
[i Magazine・IS magazine]