今年8月にIBM Power事業部のGMに就任したトム・マクファーソン(Tom McPherson)氏が11月8日にブログを公開し、2024年に向けた注力分野について語っている。また11月13日には米メディアのIT Jungleがマクファーソン氏へのインタビュー記事を掲載し、新GMの考えに迫っている。同氏の発言をクリップしてみよう。
まず、マクファーソン氏が「4つの重要分野」として挙げるのは、次の4つである(同氏のブログ)。
(1)IBM Power上の3つのオペレーティング環境(AIX、IBM i、Linux)への戦略的投資を継続することで、中核的なビジネス・ワークロード向けの主要機能を革新。
(2)SAP HANA on Powerのオンプレミスおよびクラウドにおける成長の促進。
(3)銀行および金融サービス業界のモダナイゼーション・サポートの強化。
(4)サブスクリプション・サービスとPower as a Serviceの拡充によるPower利用時の柔軟性の向上。
マクファーソン氏は、2008年にIBM入社。IBM Zのプロセッサ開発やシステム開発、ソフトウェア開発の責任者などを歴任した後、2022年4月にIBM Power事業部へ移り(システム製品VP)、今年8月にPower事業部のGMに就任した(LinkedInの自己紹介による)。
IBM Z事業部からPower事業部へ移籍した際の印象をIT Jungleに尋ねられたマクファーソン氏は、「IBM Powerの顧客数の多さとパートナーとの関係性の深さ、パートナーを介したビジネスの多さが印象に残りました」と答え、「このことを踏まえてPowerの戦略を新たに定義し、従来からの戦略を大きく変更しました」と述べた。
その新しい戦略とは、「コアを守り、進歩を促す」というもの。「過去数年間のIBM Powerのトレンドをただ見守り次の戦略を立てるのではなく、新たな戦略に基づく新しい成長ドライバーを積極的に推進するという立場」だという。新しい成長ドライバーとは、SAP HANA、モダナイゼーション、OpenShift、AI、そしてPower Virtual Serverなど。
「スティーブ(ウィル氏、IBM iチーフアーキテクト)とケン(キング氏、前Power事業部GM)と私はPowerの組織構造をデザインし直し、成長ドライバーを製品管理レベルで調整できることを目指しました。そして四半期ごとにロードマップをリリースして戦略セグメントとの整合性を高め、個々の成長ドライバーで方向転換が必要なときにはいつでも対応できるようにしました。SAP HANAでは過去1年間に3、4回、モダナイゼーションでは、AIやwatsonxへの方向転換を実施しています」(マクファーソン氏、IT Jungleインタビュー、以下同じ)
また、Power Virtual Serverへのスムーズな移行と「摩擦のないハイブリッドクラウド」を実現するために、「Power10システムを購入するとハイブリッドクラウドのキャパシティ・クレジットが付与され、オンプレミスのデータセンターと同じ体験をIBM Cloudで実現できるようにしました」と語り、「Power Virtual Serverへの移行は大がかりなリファクタリングなしに行え、移行後はクラウドネイティブへのシフトやクラウドサービスの拡張をお客様自身のペースで進めることができます」と説明を加えた。
さらに、「オンプレミスのPowerをサービスとして提供することも検討しています」と述べた。
・トム・マクファーソン氏ブログ「Building on a year of focus to help IBM Power clients grow with hybrid cloud and AI」
https://www.ibm.com/blog/building-on-a-year-of-focus-to-help-ibm-power-clients-grow-with-hybrid-cloud-and-ai/
・IT Jungle「New GM Wants To Push IBM Power With Hybrid Cloud And AI」
https://www.itjungle.com/2023/11/13/new-gm-wants-to-push-ibm-power-with-hybrid-cloud-and-ai/
[i Magazine・IS magazine]