デロイト トーマツ グループは3月25日、日本の上場企業が注視しているリスクの種類や経験したクライシスについて分析した「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査 2024年版」を公開した。
同調査は、同社が2003年より毎年実施しているもので、今回で22回目。今回は2025年1月中旬~2月中旬に日本の上場企業約3500社を対象に実施され、320社から有効回答を得た。
調査結果の主なハイライトは以下のとおり。
・国内で優先的に対処すべきリスク1位は3年連続で「人材流失、人材獲得の困難による人材不足」
・2位「サイバー攻撃などによる情報漏えい」、3位「異常気象、大規模な自然災害」に
・国内外問わずガバナンス・コンプライアンス関連のリスクが上位に
・特定のクライシスには50%強の企業が対応計画を策定している
・その一方、リスクマネジメントと連動した体系的な対応計画を策定している企業はわずか
日本国内において3年連続で1位、海外でも2位となった「人材流失、人材獲得の困難による人材不足」についてデロイト トーマツでは、「デジタル人材やグローバル人材の不足などを背景に、人材獲得を重視する企業の割合がますます増加している」とコメントしている。
また国内2位、海外5位の「サイバー攻撃・ウイルス感染などによる情報漏えい」については、「リモートワークが定着し、社外から社内システムにアクセスするケースが多くなったことでサイバー攻撃の被害件数が増加したことや、生成AIを悪用したサイバー攻撃の可能性なども背景に、多くの企業がリスクとして注視している」としている。

海外拠点の1位となった「グループガバナンスの不全」については、「外部環境が目まぐるしく変化し、経営環境の不確実性が増している中で、海外事業を成長させるべく意思決定やレポートラインが重要視されていることや、新型コロナウィルス感染症が収束し海外拠点の実地監査が再開したことにより、不正・不祥事等の発覚が増加している」と背景を述べたうえで、「グループガバナンスが課題と認識している企業が増加している」と指摘している。

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