IBMとSAPは1月24日、「RISE with SAP on IBM Power Virtual Server」を2025年第2四半期に提供開始すると発表した(米国およびドイツでは現地時間1月7日に発表)。
これは、「RISE with SAP」(SAPが提供するAI対応クラウドERP) を「IBM Power Virtual Server」上で利用可能にするサービスである。
同サービスは、SAP S/4HANA CloudをオンプレミスのIBM Powerで利用する環境からクラウドへ移行する際のリスクを軽減し、移行期間を90日以内に短縮する。
高いセキュリティ、拡張性、信頼性で知られるIBM Powerは、SAP認定インフラストラクチャの中で可用性第1位にランクされている。
IBMのソフトウェア担当シニア・バイス・プレジデント兼チーフ・コマーシャル・オフィサーであるロブ・トーマス(Rob Thomas)は、次のように述べている。
「IBMはSAPと密に連携し、SAPのワークロードやアプリケーションをIBM Powerプラットフォーム上で実行するお客様向けに、円滑で迅速な移行サービスを提供してきました。今回新たに提供するオファリングは、クラウド移行の複雑さを軽減し、その効果を加速させます。IBMは、RISE with SAPを活用した自社のモダナイゼーションの取り組みにおいて、その効果を直接経験しました」
IBMはRISE with SAPを活用し、グローバル規模でのSAP S/4HANA Cloudのモダナイゼーションを完了している。
このプロジェクトは、18カ月間で175カ国、15万人以上のユーザーに関わるもの。プロジェクト期間中に、全体のサーバーおよびデータ規模を合理化し、プロセスの自動化を進めた結果、インフラストラクチャのコストおよび関連業務を30%削減することに成功した。
IBM Consultingは、この変革をエンドツーエンドで主導し、複雑なソリューションの安全な移行・実行に必要な技術サービス、実装、およびアプリケーション管理サービスの専門知識を提供した。
SAPのエグゼクティブ・ボード・メンバーであるトーマス・ザウアーエシッヒ(Thomas Saueressig)は、次のように述べている。
「SAPは、SAP Business AIの機能を組み込んだクラウドベースのエンタープライズ・アプリケーションを通じて、企業が最高の成果を得られるよう支援しています。今回の発表は、SAPとIBMとの長期的なパートナーシップにおける新たなマイルストーンであり、お客様が価値を生み出すまでの時間を短縮し、柔軟性を高め、継続的なイノベーションを実現するクラウド移行への明確な道筋を示します」
ユーザーは、IBM Consultingや他のSAPパートナー企業と連携することで、SAP S/4HANA Cloudを活用した変革を加速できるようになる。IBMは、ユーザーに多様な選択肢を提供するため、他のグローバルなシステム・インテグレーターやサービス・パートナーと協力し、RISE with SAPプロジェクトの設計、展開、移行を進めている。
両社は、パートナー・エコシステムとも協力しながら、統合ソリューション、機能、共同マーケティング活動を活用し、ユーザーがRISE with SAP on IBM Power Virtual Serverを通じて変革を実行できるよう協力していく予定である。
RISE with SAP on IBM Power Virtual ServerのユーザーやIBMビジネスパートナーは、SAP S/4HANA CloudとRISE with SAPへの移行を支援する新しい「IBM Transformation Suite for SAP Applications」を利用できる。これには、現在の環境の評価、データ移行、自動テストのための最高水準のソフトウェアとサービス一式が含まれている。
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