PwCは6月7日、「メタバースの利活用に関する日本企業1000社調査」の結果を発表した。今年(2022年)3月10日~18日に実施した調査で、1085社が回答した。メタバースに関する企業向け調査としては「日本最大規模」と、PwCはアピールしている。
PwCでは今回の調査に先立ち、第一次産業を除く7万2033社から無作為抽出した1万社に対して「メタバース」という用語に関する認知度のスクリーニング調査を行った。その結果は、
・用語は知っているがビジネス活用に興味がない:37%
・自社でのビジネスへの活用に興味がある:10%
・知らない:53%
で、47%がメタバースを認知していることがわかった。今回の調査は、「自社でのビジネスへの活用に興味がある:10%」の1085社に対するものである。
最初に「メタバース」という言葉に何を想起するか、キーワードを尋ねている。その結果は、以下のとおり。
・仮想空間:79%
・アバター:52%
・仮想現実:43%
・拡張現実:25%
・NFT:19%
・3Dコンピューティング:14%
・没入感:13%
この結果についてPwCは、「世間一般に想起される概念的なキーワードが先行している」とし、「依然としてメタバースの正しい理解や、実際の経済圏とビジネス化のイメージまでは距離があると考えられ、黎明期の状態」と分析している。
メタバースのビジネスへの影響については、87%が「チャンス」と回答した。その回答企業に具体的に内容を尋ねた結果は、次図のとおり。「データ分析・活用や経営情報の把握といった社内業務での活用への期待は、まだそれほど高くない」と、PwCは指摘している。
「メタバースを活用したい領域」は、次図のような結果。顧客接点系がトップ5を占めるが、「試作品・サービスモデル作成」「事業構想・商品サービス設計」「PoC・消費者/事業者調査」などが続き、ビジネスの高度化への適用も想定されている。別の設問では、メタバースの目的として、「既存ビジネスの拡大」が67%、「新規ビジネスの創出」が47%という回答であったという。
メタバースへの取り組み状況は、
・具体的な案件を推進中:8%
・予算化済み:3%
・検討中:28%
・まだ検討していない:62%
という結果で、38%が「ビジネス活用を推進もしくは検討している」。
この38%に実施時期を尋ねた設問へは、約半数(49%)が「1年以内」と回答した。
メタバースの導入にあたっての課題は、次図のような結果だった。PwCでは、「メタバースへの取り組みにはスピード感が必要との認識の一方で、説明責任を果たすことの内部的な障壁があることへのジレンマが存在する可能性が見える」とコメントしている。
調査レポートが以下からダウンロードできる。
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2022/assets/pdf/metaverse-business-survey.pdf
[i Magazine・IS magazine]