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日産自動車が補修部品の入出庫管理システムをPower Virtual Serverへ移行 ~システム構築をキンドリルが支援、マルチクラウド戦略が鮮明化

日本IBMとキンドリルジャパン(以下、キンドリル)は11月28日、日産自動車の補修部品の入出庫を管理するシステムに、Power Systemsをクラウドサービスで提供する「IBM Power Virtual Server」(以下、PVS)が採用されたと発表した。システム構築はキンドリルが支援し、2022年8月から運用を開始している。

日産の補修部品入出庫管理システムは長年にわたり、安定性と信頼性に優れるPower Systems上で運用されてきた。

日本IBMと日産は、これまでに蓄積された既存プラットフォーム資産やOracleなどのソフトウェア・ポートフォリオを変更することなく、AIXおよびミドルウェアのバージョンを最新化できるPVSへの移行を検討開始し、キンドリルが評価および検証を担当した。

キンドリルは、長年にわたる多数のクラウド構築案件や移行実績、そしてIBM CloudおよびPVSの製品ナレッジを活かし、日産や複数の関連ベンダーと協業しながら構築を支援している。2021年9月から移行作業を開始し、2022年8月よりPVS向けにモダナイズした新システムでの運用がスタートした。

ホストシステムや周辺システムとの接続性を維持し、従来の業務プロセスを変更することなく、新システムとしてIBM CloudとPVSを利用することにより、アプリケーションの更新をより柔軟かつ迅速に対応できるようになったとしている。

日産では2018年から「マルチクラウド」を旗印に、全社的なITインフラのクラウド移行を展開している。対象は設計、開発、生産など、自動車メーカーの基幹業務全域に及び、AWSへの大規模移行が段階的に進行中だ。

また2019年には、日産およびルノー、三菱自動車の3社がMicrosoft Azureをベースとした「アライアンス インテリジェント クラウド」を立ち上げた。これら3社が車両を販売している 200 の市場のほぼすべてで、コネクテッドサービス用のインフラとして同クラウドを使用している。

さらに2020年には、新車開発に必要な構造力学シミュレーションやCFD(計算数値流体力学)などに、日本オラクルが提供するクラウド基盤であるOracle Cloud Infrastructureの活用を開始した。

このようにここ数年、日産のマルチクラウド戦略は鮮明化しつつある。

このクラウド戦略のもと、今回はPower Systems上での運用歴が長い補修部品入出庫管理システムについて、既存のプログラム資産を継承しつつ、AIXやその他ミドルウェアの最新環境を備えるPVSへの移行を選択したと思われる。

[I Magazine・IS magazine]