MENU

ノーコードで企業間取引用のECサイトを構築 、IBM iの基幹DBとダイレクトに連携する ~NextB2B

ほぼノーコードで
企業間取引用のECサイトを構築

オムニサイエンスが今年7月にリリースした「NextB2B」は、IBM i ユーザー向けのB2Bプラットフォームである。

SaaS型のクラウドサービスであり、ほぼノーコードで企業間取引に向けたWebサイトを構築できる。これまで同社が提供してきた「API-Bridge」や「PHPQUERY」に比べると、開発ツールというよりは、業務寄りのアプリケーションに近いと言えるだろう。

同社では、「企業間取引をシームレスかつ効率的に行う」ことをコンセプトに、NextB2Bの開発に着手した。

一般的に見ると、大手の取引先とはEDIで受発注を行っているものの、在庫照会や受発注、納期確認などの対応を今もまだFAXや電話、メール、あるいは手書きの書類でやり取りしているケースは多い。

Web EDIの仕組みを自社で構築したくても、必要スキルの難度は高く、外注すればコストが嵩む。そのことに頭を悩ませるIBM iユーザーは多い。そこで同社では、IBM iのDBと連携した企業間取引の仕組みを、GUI画面による簡単なドラッグ&ドロップ操作だけで構築できるようにした。従来のECサイト構築の手法を劇的に変えたのが、NextB2Bなのである。

Starter版とStandard版、
Enterprise版を用意

NextB2Bでは大きく照会系と更新(購入)系の機能を備えており、照会系の機能を提供するStarter版と、それに更新系の機能を加えたStandard版、Enterprise版が用意されている。

今年7月に提供を開始したStarter版は、以下の機能を搭載している。

◎ログイン画面
Db2 for iで準備したマスタ情報を使ってログイン機能を構築。タイトル、サブタイトル、背景などはカスタマイズ可能で、指定した時間(FROM-TO)のみログインできる。

◎トップ画面/メニュー
ログイン後に表示するトップ画面およびお知らせを作成する。お知らせ文書の作成や画像の貼り付けが可能で、他のWebサイトへのリンクも設定できる。

◎照会系 一覧
商品情報(在庫・画像)、購入履歴などを含め、一覧形式で基幹DBを直接参照できる。顧客(取引先)情報をもとに、項目の表示・非表示設定が可能である。

◎照会系 詳細
商品情報(画像あり)を含め、詳細形式で基幹DBを直接参照できる。顧客(取引先)情報をもとに、項目の表示・非表示設定が可能である。

ここまでの照会系機能がStarter版で提供される。さらにStandard版、Enterprise版では、照会系に加えて更新系の機能が提供される。

今年9月にリリースを予定しているのは、更新系機能の1つである「CSV取り込み」機能である。これは一時書き出し(ワークファイル)への書き込みとプログラムコールに対応する。顧客(取引先)情報をもとに取り込み時のレイアウト変更が可能で、桁数、未入力、不整合文字(数字項目に文字が入るなど)などのチェック機能を備えている。

基本的には受発注や在庫管理などでの利用を想定しているが、それにとどまらず、上記の機能を利用すれば多機能なECサイトの構築をサポートできるだろう。

ちなみに完全ノーコードではなく、「ほぼノーコード」と謳っているのは、更新系を利用した際にわずかながらRPGプログラムの作成作業が生じるからである。

NextB2BではECサイト側にDBをもたず、IBM iのDBとダイレクトにやり取りするが、それに伴うリスクを軽減するため、いったんワークファイルに更新データを書き出し、RPGプログラムをキックして、Db2 for iへ本受注ファイルを書き込む仕組みにしている。

このRPGプログラムの作成は、ユーザー側の作業となる。つまりこの部分だけは、RPGでプログラムを作成する必要が生じるわけだが、ECサイト側の構築に関しては、コーディングは一切発生しない。

NextB2BのStarter版は、月額10万円で提供される。Standard版では、「CSV取り込み」機能を付加して月額15万円になる。またEnterprise版では、Standard版に「入力・更新」または「カート機能」を付加して月額20万円となる。

同社では年内に「入力・更新」、2024年1〜2月に「カート機能」のリリースを予定している。

NextB2B は、IBM iユーザーが自身の手により企業間取引用ECサイトを構築することを狙いにしている。自社のDB構造を理解していることが前提だが、2時間程度のトレーニングを受ければ、ECサイト構築が可能になる。

正式リリース前からユーザーはNextB2Bに高い関心を寄せており、すでに導入が決定した事例もある。 

NextB2Bを利用することで、プログラムを開発することなく、注文処理の効率化、情報のリアルタイム性の確保、ミスの削減、コミュニケーションコストの低減などを実現できる。

NextB2Bは企業間取引用サイトの構築方法を劇的に変革するという意味で、B2B取引のDXを実現するツールであると言えるだろう。

株式会社オムニサイエンス
https://www.omni-s.co.jp/

 

[i Magazine 2023 Summer(2023年8月)掲載]

新着