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福岡情報ビジネスセンター「Powerクラウドサービス」 ~クラウドの利用メリットは「ベンダー技術の活用」、30年以上のSI経験を各種サービスでフルに提供 |IBM iクラウドベンダーの戦略・サービス

市場で評判のSaaSサービスも
簡単に利用可能に

福岡情報ビジネスセンターは昨年(2023年)12月に、ユーザー企業3社からオンプレミスに導入するPower10を3台、相次いで受注した。発注元はいずれもEOSの期限が迫るPower8のユーザーで、受注したのはP20の大型モデルを含む3台だった。

「ご注文は非常にありがたい内容でしたが、その一方で、IBM iのオンプレミスでの利用はまだしばらく続くという常日頃抱いているやや残念な市場観ともつながり、少々複雑な思いもありました」と、代表取締役社長の武藤元美氏は話す。

同社は2011年から「Powerクラウドサービス」を自社センターで提供してきた。IBM i技術者の不足がユーザーとベンダーの双方で深刻になる中で、その解決手段として考えたのがクラウドサービスだったという。

「その考えは今もまったく変わりません。むしろ状況はますます深刻になる一方で、IBM iのユーザー様とシステムの運用・保守・開発を主業とするベンダーは、クラウドの利用を真剣に検討すべき時期にきていると思っています」(武藤氏)

同社では過去30年にわたり、IBM iの基盤設計からネットワークの設計・構築、業務システムの開発・運用・保守までワンストップでトータルに支援してきた実績がある。

武藤氏は、「そのオンプレミスで培ってきた経験・技術をフルに活用したのが、Powerクラウドサービスの特徴です」と強調する。

Powerクラウドサービスは、クラウドへ移行するためのサイジングからクラウド環境の設計・構築、移行までを行うサービスで、オプションでシステムの保守・運用、アプリケーション保守などを利用できる。そしてその個々のフェーズで「お客様の将来やお困り事の解決へ向けて企画・提案を行います」という。

「Powerクラウドサービスへ移行すればシステムの維持・運用コストを削減できますが、それに加えて当社が培ってきた技術・ノウハウをお客様が継続的に利用できるのが大きなメリットで、クラウドサービスをお勧めする最大の理由です。お客様はシステムの運用から解放され、本業に専念することが可能です」(武藤氏)

Powerクラウドサービスでは、生産管理システム「Power-PMS」や部門採算管理システム「Power-Unit」、セキュリティソリューション「ISM CloudOne」などもユーザーの規模にあわせて安価に提供している。さらにiPhoneやAndroidなどを活用する業務システムのSaaS提供や、kintoneや楽々精算など外部サービスとの連携も推進中という(図表1図表2)。

図表1 Powerクラウドサービスの概要・料金
図表2 Powerクラウドサービスの提供環境

「市場で評判の外部サービスなども、クラウド上にシステムを置ければ簡単に利用できることをお客様に体感していただきたく思っています。クラウドサービスはIBM iを外部へ向けて開き、将来に向けて継続利用していくための強力な基盤となります」と、武藤氏は語る。

Powerクラウドサービスのユーザー数は現在「20社弱」。ユーザーの業種は、製造、物流、商社、小売、保険、情報処理、サービスなど多岐にわたり、基幹システムの運用が大半を占める。

クラウドサービス基盤は
将来、PowerVSへ移行

武藤氏は、「Powerクラウドサービスの基盤は将来的に、自社センターからPower Virtual Server(以下、PowerVS)へ切り換える考えです」と、次のように理由を述べる。

「市場ではインフラ技術者が枯渇する深刻な傾向にあり、その一方でインフラを維持・運用するためのコストがIBM Powerを含めて高額化しています。そのような状況の中で当社のようなベンダーが今後も、長期にわたってクラウドサービスの基盤を自ら維持・運営していくのは大きなリスクを伴い、経営基盤も揺るがしかねません。

IBM iのクラウドサービス基盤はメーカーであるIBM様に任せておき、ベンダーはPowerVS上でアプリケーションの開発・運用・保守に徹していくのがこれからの王道だと考えています。そのことはまた、メーカーとベンダーとの新しい関係性を作ることにもなり、市場におけるメーカーとベンダーの最適配置にもつながると考えています。お客様にはぜひ早期にクラウドサービスへの移行を決断していただきたく思っています」

 

[i Magazine 2024 Spring掲載]

 

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