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ベル・データ「Power-Cloud for i」「PowerクラウドNEXT」 ~スピード感のある顧客対応と付加価値サービスで、高成長を継続 |IBM iクラウドベンダーの戦略・サービス

協業相手が称賛する営業力と
多種多様な付加価値サービス

ベル・データは2009年に国内3カ所にデータセンターを開設し、ハウジング/ホスティング事業に本格参入した。それまでIBM iの保守、レンタル、機器販売を主軸としオフィス拠点内において簡易的なハウジング/ホスティングサービスを提供してきた同社にとって、新たな領域への一歩だった。そしてIBM iの仮想化技術の向上にあわせてIBM iクラウドサービスをスタートさせた。

同社のIBM iクラウドサービスは、当初は基幹データのバックアップが中心だった。ところが「本番機を対象にしたクラウドサービスはないのか」という問い合わせが次第に増えたため、2013年にIBM i基盤(IaaS)の提供やシステム運用・保守、ソフトウェア保守などをメニューに追加し、トータルサービスとしての内容を整えたという。

それ以降、年10社平均で新規ユーザーを伸ばし、2010年代末にはIBM iクラウドサービスの“トップ3”(利用企業数ベース)に数えられるまでに成長した。そして2023年に“トップ3”の1社である日本情報通信と提携を結び、両社のIBM iクラウドサービスを一本化し共同で推進していくことを発表した。これが同社のIBM iクラウドサービスの歩みである。

今回の提携の背景について取締役の上野誠也氏(Power事業部事業部長)は、「新規のお客様は年に10社程度の数で推移してきましたが、ここ数年は20社、30社と数が増え、今後はさらに伸びることが予想されます。そうなると年1回程度の基盤投資では追いつかず、さらにお客様数の加速度的な増加に対応するための運用の適正化などが新たな課題として浮上していました」と説明する。

ベル・データは「営業が強い」とIBM i市場で評される。日本情報通信もベル・データの営業力を協業の理由の1つに挙げている。同社のIBM iクラウド市場における成長は、営業力が強力な推進力の1つと見ることができそうだ。

「当社では長年にわたり、お客様の数を増やすことにいろいろと取り組んできました。それに加えて、お客様のご要望に対してはどんなに煩雑で工数がかかるものであっても、技術的に対応可能ならばすべてお受けし、スピード感をもって実現する方針を貫いてきました」と、Power事業部の松永道子部長は同社の営業の特徴を話す。

またIBM iクラウド事業におけるもう1つの特徴は、IBM iの利用をレベルアップする多種多様な付加価値サービスの提供である。これも日本情報通信が“協業の理由”として挙げる1つである。B-Core API-HUB(システム連携)やBSATシリーズ(運用管理・開発支援)、X-Analysis(RPG解析)といったサービスを指す。

その付加価値サービスを含めサービス/サポートを統括する蓮沼克典氏(サービス・デリバリー 東日本サービス&サポート部長)は、「当社がさまざまなサービスを揃えるのは、お客様のお困り事への対応やIBM iのより賢い使い方を追求していった結果で、サービスの拡充とお客様のどのようなご要望にもお応えしていく方針は今後も続けていくつもりです」と述べる。

個人のスキル・情熱への依存から
仕組みによる課題解決へ

ただし、従来の方針の堅持だけでなく、日本情報通信との協業を機に新たな展開も構想しているようだ。上野氏は次のように話す。

「当社の営業とサービス/サポートは、お客様の課題解決へ向けてスピード感をもって取り組んできました。しかしそれは個人のスキルと情熱に頼る部分が大きく、案件数が爆発的に増加すれば限界がくることは目に見えています。今後は仕組みによる対応へと転換していく必要があり、仕組みによる解決を日本情報通信との共創で実現したいと考えています。

またお客様のご要望が多様化するなかでは直販だけでなく、多様なソリューションをおもちのパートナー様と一緒にやっていく必要性も痛感しています。日本情報通信とのPowerクラウドNEXTでは、パートナー様と協業するためのマーケットプレイスを設け、新しい市場を創出していきたいと考えています」

また松永氏は、「IBM i市場における協業は従来、マーケットの拡大よりも自社の取り組みの効率化が主眼でしたが、IBM iというプラットフォーム自体は外部と広く連携し市場を拡大するポテンシャルを備えています。日本情報通信との協業を機に、IBM iの新しい世界へ乗り出していきたいと思っています」と抱負を語る。

 

図表 Power-Cloud for iのオプションサービス(今後は「PowerクラウドNEXT」で提供予定)

[i Magazine 2024 Spring掲載]

 

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