The Linux FoundationとedXは9月23日(現地時間)、オープンソース人材の雇用・キャリア動向などをまとめた調査報告書「The 2021 Open Source Jobs Report」を発表した。
9回目となる調査レポートで、今回も世界各地の企業・政府機関・人材派遣会社の採用担当者とオープンソースの専門家を対象に、2021年6月8日~7月19日に調査を実施し、企業などからは200人以上(うち日本は2%)、オープンソースの専門家からは750名以上の回答を得た。
雇用状況
雇用の状況については、次のような結果となった
●採用担当者の50%が、過去6カ月間と比較して、今後6カ月間にオープンソース・プロフェッショナルの採用を増やすことを計画している。
●88%の採用担当者が「認定資格者の採用を優先する」と回答し、2020年の57%から大幅に増加した。
●採用担当者の97%が、オープンソース人材の採用は2021年の優先事項であると回答しており、資格を保有するオープンソース・プロフェッショナルを探す傾向がこれまで以上に強くなっている。
需要の多いスキルセット
採用担当者および開発者の両者が求めるスキルセットは、次の通り(数字は回答率)。過去9回の「Open Source Jobs Report」の調査のなかで、クラウドネイティブ・テクノロジーが初めてLinuxを上回った。クラウドネイティブなスキルに対する需要の高まりは、Linux Foundationのトレーニング&認定プログラムへの参加状況と一致しているという。
また、採用担当者と開発者のそれぞれが求めるスキルセットは「クラウド/コンテナ技術」がトップであるのは同じだが、「DevOpsの実践」では大きな違いがあった。開発者が求めるスキルセットでは2位だが、採用担当者からは上位に入っていない。
採用担当者および開発者が求めるスキルセット
・クラウド/コンテナ技術:46%
・Linuxの開発・管理:35%
・ネットワーク技術:26%
・DevOpsの実践:24%
・セキュリティ対策:23%
採用担当者が求めるスキルセット(下図)
・クラウド/コンテナ技術:41%
・Linuxの開発・管理:32%
・ネットワーク技術:31%
・セキュリティ:28%
・AI/機械学習:18%
・ストレージ技術:17%
・エッジコンピューティング:17%
・Webテクノロジー:16%
開発者が求めるスキルセット
・クラウド/コンテナ技術:48%
・DevOpsの実践:44%
・Linuxの開発・管理:31%
・ネットワーク技術:23%
Linux Foundationの視点
レポートは上記の調査結果を受けて、「Linux Foundationの視点」として次のようにコメントしている。
・私たちは現在、レガシー技術の上に新しい技術が構築され、基盤となるソフトウェア・インフラの変化に対応するミドルウェアがしばしば不足するという状況に直面している。新旧両方の技術に関するスキルが不足していることと相まって、オープンソース人材の雇用市場はかつてないほどのストレスにさらされている。これらに対応する簡単な解決策はなく、まだすべてのレガシーアプリケーションの問題を解決するには何年もかかるだろう。
・オープンソースの専門家から見ると、これらのソフトウェア・ライフサイクルと企業システム管理の問題の解決は困難に思えるかもしれない。現代のテクノロジーは急速に変化するため、自分の仕事を成功させるために適切な分野に着手し、それだけに注力することは困難だ。
・オープンソースに携わる人材が自身の仕事を成功させるには、スキルアップ、クロストレーニング、効果的なスキル保持プログラムなどを総合的に組み合わせたタレント・マネジメント戦略を採用する必要がある。これらの作業はすべて、時間、予算、技術的なスキルの利用可能性を考慮して計画され、実施されなければならない。
「The 2021 Open Source Jobs Report」は2回に分けて紹介します。
・前編 オープンソース採用担当者は「クラウド/コンテナ技術者」を求める
・後編 オープンソース技術者 獲得・維持の決め手は「給与、トレーニング機会の提供」
調査報告書「The 2021 Open Source Jobs Report」(英語)
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