米IBMはクラウドストレージに向けた新たな戦略の下、ストレージ関連製品のブランド名を「IBM Spectrum」から「IBM Storage」へ変更し、今後に向けたストレージ・ソフトウェア・ポートフォリオを発表した。
IBMは2022年10月、IBMとRed Hatのデータサービス用コンテナ・ストレージ技術を統合することで、急成長するKubernetesプラットフォーム市場に対応することを発表している。これに沿って、ソフトウェア・デファインド・ストレージ・ポートフォリオを新たに拡張し、エッジからコア、クラウドまで一貫したアプリケーションとデータストレージを提供することも明らかにしている。
IBM ストレージ ジェネラル・マネージャーであるデニス・ケネリー氏は3月2日付けのブログで、新たなブランド名に込めたコンセプト、および新しいポートフォリオを構成するストレージソリューションについて紹介している。以下にその一部を紹介する。
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IBMはここ数年、オープンソースを取り入れ、IBMのブランドと利用モデルを簡素化しながら、今日のすべての企業が直面する最も重要なデータ課題に取り組むべき、ストレージ・ソフトウェア・ポートフォリオを戦略的に進化させてきた。
今年の早い時期に、Red Hat Storageソフトウェア・ポートフォリオをIBM Storageと統合し、業界で最も包括的なストレージ・ソフトウェア・ポートフォリオを実現する。IBMは、Software Defined Storageプラットフォームの基盤として、業界をリードするオープンソースベースのCeph(セフ:分散オブジェクトストレージ機能を提供するオープンソースのストレージソフトウェア)に投資している。
IBMは、ユーザーが直面する最も差し迫ったデータ課題として、次の3つを挙げている。
・AI、機械学習(ML)、ハイパフォーマンス・コンピューティングのワークロードを採用し、ハイパーデータの増加に対抗する。
・それらのデジタル資産がエッジからコア、クラウドへと自由に移動できるような、情報およびアプリケーションのサプライチェーンを構築する。
・意図的または偶発的なデータ侵害に伴う風評被害やデータ損失から、ビジネスの、あるいは運用に関する重要なワークロードを保護する。
IBMが提供するストレージ製品の数は膨大であり、多彩なニーズとユースケースを持つ非常に幅広いユーザーに対応している。同時にIBMは柔軟な利用モデルを提供しながら、ユーザー体験を強化し、簡素化する方法を常に模索している。
そのため、IBMはユーザーが最も緊急なデータ課題に対応しながら、運用しやすく、かつ理解しやすいように、製品のブランディングを変更することにした。
ブランド名は「IBM Spectrum 」から「IBM Storage」へ
IBM Storageは、マーケティング・リサーチの研究、専門家とのコラボレーション、そしてユーザーへのコンサルティングなどを含めて徹底的に検討した。
その結果、ソフトウェア・デファインド、オープン、そしてサービスとして利用しやすいソリューション主導であることに重点を置きながら、製品の数を減らしてシンプルにするよう尽力した。また、IBMがストレージ事業に非常に力を入れていることを強調することも重要であった。その結果、「Spectrum 」から「Storage」に変更することに決定した。
フレームワークは、以下の図表のとおりである。大きくは「IBM Storage for Data and AI」「IBM Storage for Hybrid Cloud」「IBM Storage for Data Resiliency」の3つで構成されている。
IBM Storage for Data and AIで
AIとハイパーデータの成長に対応
IBM Storage for Data and AIは、ユーザーがアプリケーションと情報のサプライチェーンを最大限に活用し、ビジネスを向上できるように設計されている。
本ソリューションは、以下で構成されている。
◎IBM Storage Scale
AI、機械学習、ハイパフォーマンス・コンピューティングのワークロード向けに設計された、スケールアウト型のファイルおよびオブジェクトのソフトウェア・デファインド・ストレージ・プラットフォームである。
◎IBM Storage Ceph
汎用ワークロードのブロック、ファイル、オブジェクトのニーズに対応するよう設計された、統一されたオープンソースのソフトウェア・デファインド・ストレージ・プラットフォームである。
◎IBM Storage Scale System(旧IBM Elastic Storage System)
持続可能なITアーキテクチャでIBM Storage Scale用の高パフォーマンスのクラスタを作成するために設計された、オールフラッシュおよびハイブリッド・エラスティック・コンピュートおよびストレージ・アプライアンスである。
IBM Storage for Hybrid Cloud
エッジからコア、クラウドへと接続する
IBM Storage for Hybrid Cloudは、Red Hat OpenShift向けのデータ・オーケストレーション・サービスにより、ユーザーのアプリケーション・スタックの近代化、次世代アプリケーションの構築、イノベーションの迅速化を支援するために設計されている。
オンプレミスでクラウドアーキテクチャを展開し、パブリッククラウド環境へシームレスに拡張する。我々の目標は、ユーザーがハイブリッドクラウド環境をコントロールすることで、メンテナンスから解放されてイノベーションを開始し、ステートフルコンテナ環境とポータブルワークロードに対して、ITをより俊敏でスケーラブル、安全、効率、費用対効果の高いものにすることである。
本ソリューションは、以下で構成されている。
◎IBM Storage Fusion
柔軟な導入オプションを備えたソフトウェア定義ストレージ・プラットフォームで、Red Hat OpenShift環境でホストされているデータやアプリケーションを効率的に保存、保護、管理、統治、動員、統合するためのデータ・オーケストレーション・サービスを提供する。
◎IBM Storage Fusion HCI System
コンテナ・ネイティブなデータ・オーケストレーションとストレージ・サービスにより、Red Hat OpenShift の設計と展開を簡素化し、より迅速で一貫した Kubernetes アーキテクチャの展開を可能にする専用ハイパーコンバージド・インフラである。
IBM Storage for Data Resiliency
デフォルトとデザインで弾力性を
IBM Storage for Data Resiliencyは、レジリエントなストレージの提供によりコストとダウンタイムを削減しながら、ユーザーが侵害や脅威からデータを保護できるように設計されている。機械学習と自動化をストレージ・テクノロジーと統合し、異常や脅威の検出、復旧の迅速化、コストの最適化を実現する。
本ソリューションは、以下で構成されている。
◎IBM Storage Defender
脅威の暴露を数日から数時間に短縮し、ソース・データセットからの論理的、運用的、物理的分離を含むエアギャップ機能により、検知から復旧までサイバー脆弱性を防御する多面的かつ拡張可能なデータ回復力の提供により、データとアプリケーションを積極的に保護する。
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