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IBMの最新調査から ~保険業界のリーダーたちは、競争に打ち勝つには生成AIの迅速な導入が必要であると考えているが、顧客はそれに懸念を示している

IBMは10月16日、Institute for Business Value(IBMのシンクタンク)による新たな調査で、保険会社と顧客が生成AIの利用を優先する上で、双方に考え方の違いがあることを明らかにした。業界幹部は体験に重点を置いている一方で、顧客はパーソナライズされたリスク商品や洞察を求めている。

23カ国の保険会社の経営幹部1000名と9カ国の保険顧客4700名を対象とした調査の結果は、「Generative AI in the Insurance Industry: You Can’t Win if You Don’t Play(保険業界における生成AI:参入しなければ勝ち目はない)」にまとめられている。

「保険業界は、顧客体験やチャットボットの強化により生成AIで進歩を遂げてきましたが、保険会社は、信頼できるAIアシスタントと信頼性の高いプロセスを構築するために、透明性、プライバシー、説明責任を確保する包括的なガバナンスフレームワークの採用に重点的に取り組む必要があります」

こう語るのは、IBMテクノロジーのグローバル保険担当ディレクターであるマーク・マクローリン氏である。

「また、顧客を適切な商品に結びつけることにも大きなチャンスがあります。企業全体でAIを活用することは、顧客のリスク体験を改善し、その体験を支えるITツールを導入する上で極めて重要となります。」

調査の概要

・調査対象となった保険会社のCEOは、生成AIをリスク(49%)と捉えるか、あるいは機会(51%)と捉えるかでほぼ半々であった。

・回答した業界リーダーの77%が、競合他社に遅れを取らないためには生成AIが必要であると認識している。

・企業が1つまたは2つの分野での試験運用から、事業ライン全体にわたる複数の機能での実装へと移行するにつれ、生成AIへの投資は2023年から2025年にかけて300%以上増加すると予想される。

・保険顧客のわずか29%が、生成AIのバーチャルエージェントによるサービスに満足していると回答し、生成AIによるアドバイスを信頼していると答えたのは26%にとどまった。

・生成AIの能力開発にあまり集中化されていないオペレーティングモデルを選択した企業は、ビジネス成果を最大14%改善できる可能性がある。

提言

・柔軟性、アドバイス、リスクデータへのリンクを備えた、よりカスタマイズされた商品開発
・顧客ニーズに合わせた商品のインテリジェントなマッチング。
・倫理観とガバナンスが徹底されたAIによる信頼性の問題への対応。
・AIを活用して基礎となるリスクデータを結びつけ、保険会社や金融サービスプロバイダーが長年抱えてきた技術的負債に対処。
・AIを企業全体に展開し、ガバナンスを適用する。保険バリューチェーンにAIを結びつける権限を持つ、地域ごとの知識エキスパートを配置する。

レポート全文
www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/en-us/report/insurance-generative-ai

 

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