生成AIプラットフォーム
「MONO-X AI」の第1弾製品
MONO-X AI DataAnalystは、MONO-Xが11月5日に発表した生成AIプラットフォーム「MONO-X AI」対応の製品である。
MONO-X AIは、基幹システム業務を生成AIを使って効率化・高度化する製品/サービスの総称。プロダクト、受託開発、伴走サービスの3つの柱から成り、MONO-X AI DataAnalystはプロダクトの第1弾製品となる。今後“MONO-X AI XXX”として(「XXX」は製品ごとに変わる)シリーズ化していく計画で、「すでに来春の発表へ向けて、プロダクトの第2弾、第3弾の製品化を進めています」と、代表取締役 CEOの藤井星多氏は話す。
MONO-X AI DataAnalystは、PHPQUERYやAPI-Bridgeなどのデータ活用製品で成長してきた同社が、「自分たちがデータ活用領域のAI製品を作ったら、どんな製品ができるか」をコンセプトに、今夏から開発を進めてきたという。
藤井氏は、製品開発のヒントになったこととして、次のようなエピソードを明かす。
「PHPQUERYをご利用中のIT部門の方々に話をうかがうと、“PHPQUERY
によってデータ抽出のための定義開発は大幅に効率化できたが、その前段の、エンドユーザーの依頼内容を確認していくプロセスがどうしても残る。そこを効率化できれば社内のデータ活用はさらに広がる(図表1のA部分)”とか、“現場部門では抽出したデータをグラフやチャートに加工して、あれこれ当たりをつけながら操作してインサイトを得ているが、そのプロセスを効率化できれば生産性は大きく向上する(図表1のB部分)”という声を耳にしました」
現場部門のデータ活用を効率化
月額5万円から利用可能
MONO-X AI DataAnalystは、上記A・Bの効率化を生成AIによって実現し、現場部門(経営層も含めて)の業務を効率化するクラウドサービスである。
ユーザーはMONO-X AI DataAnalystの画面のチャットスペースにシステムに処理させたい内容をふつうの日本語で記述していくだけである。そして生成された回答に対して会話するように指示(記述)していくだけで、インサイトを得る(探る)ことができる(図表2)。
また、ユーザーと生成AIとのやり取り(会話)をスムーズにし回答精度を高めるためのRAGの仕組みも用意している。
執行役員の加邉真也氏は、「開発段階では得意先マスターなどのマスター類をRAGに登録し、回答精度を上げるための検証をさまざま実施してきました」と、次のように語る。
「その一連の検証結果から見えてきたのは、曖昧な指示や多少間違った指示を与えても、処理の仕方を工夫すると、マスター情報に基づく正確な回答が得られることが確認できました。これにより上記A・Bのプロセスは大幅に効率化でき、ユーザーの生産性を高められるという確信を深めました」
加邉氏によると、MONO-X AI DataAnalystではこのソリューションを実現するために生成AI型検索サービス「Azure AI Search」を同社独自の手法で活用しているという。
Azure AI Searchは、コンテンツの数値表現(ベクトル表現)に対してインデックス付けとクエリーの実行をサポートするサービスで、ベクトル値が近い値の項目の紐づけや照合などが行える。その結果、正確な回答をより早くより効率的に生成できる。
MONO-X AI DataAnalystが利用する大規模言語モデル(LLM)は、Azure OpenAI ServiceのうちのGPT-4o miniモデルだが、IBM watsonxで利用できるLLMも追加する予定。データ抽出・生成の対象とするのは現在Db2 for iのみだが、PostgreSQL、MySQL、SQL Server、OracleなどのデータベースやREST APIなどに順次対応していく予定という。「各種データベースやREST APIの活用については当社のアセットとして多数の実績があるので、いつでも対応可能です」と、藤井氏は補足する。
冒頭で触れたMONO-X AIの「伴走支援」は、図表1の上段(AI導入前)から下段(AI導入後)への移行プロセスをリードし、顧客独自の仕組みを作るところまでの支援サービスである。
「ユーザー企業にMONO-X AI DataAnalystをお見せすると、AIの価値が手に取るように実感いただけるようです。しかしその先へどのように進めばよいか見当がつかないという声が大半なので、システム構築や使い方までをご支援するサービスを用意しました」(藤井氏)
料金は、月額5万円〜。ユーザーのニーズに合わせて最適な組み合わせを選択可能。「PHPQUERYやAPI-Bridge並みの低料金で利用できる」という。 藤井氏は、「生成AIを使って基幹システムをより活用できることなら何でも手がけていく考えで、そのための準備も進めています」と抱負を語る。
[i Magazine 2024 Winter掲載]