三菱総合研究所と三菱総研DCSは5月28日、売上高100億円以上の国内民間企業を対象とした「DX推進状況調査」を実施し、レポート「VUCAへの『対応力』が企業を変革する ~『経営×DXの連動』と『ヒト×生成AIの共創』~」をまとめた。3年連続調査におけるデジタル化の推移や「先進企業」の特徴、VUCAへの対応力などについて、調査結果を公表している。
1. 背景
近年、企業を取り巻く環境はますます複雑で多様なものになり不確実性が増しています。変化が速い経営環境における企業成長のためには、企業価値の向上に資するDXが必要である。
DX元年である2021年に開始した過去2回の独自調査では、DXの進展度(デジタイゼーション、デジタライゼーション、ビジネス変革への取組状況)、推進課題、解決策を確認した。3回目となる同調査では、DXが一般化したことから、特に変化が激しい外部環境への対応状況に着目。調査のスコープをDXから経営領域まで拡大し、VUCA(※)への対応状況を分析した。
※VUCA=Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字。震災や紛争、疫病、技術革新等により社会の先行きを見通すことが難しくなった状況を表す概念。
2. 調査結果
概況
3年連続調査の経年比較において、デジタル化の3段階の構成割合に大きな変化なし。
先進企業(ビジネス変革に取り組み売上成果も出せている企業)ほど、外部環境に柔軟に対応できる体制が整っており、経営戦略とDXの取り組みが連動。
ポイント①:経営×DXの連動(「経営観点」でのVUCA対応)
「外部環境への柔軟な対応体制が整っており、変化に即座に対応できる」ほど、売上成果が出ている。
経営戦略とDXの取り組みが、内容面または指標面で連動しているほど、売上成果が出ている。
DXは単独で実施するのでなく、外部環境に応じて策定した経営戦略を推進する手段と位置づけることが有効。KPI設計時は、DXの評価指標と経営・事業KPIを紐づけることがポイント。
ポイント②:ヒト×生成AIの共創(「テクノロジー観点」でのVUCA対応)
データ・AIで意思決定を自動化するのでなく、部分的な導入を目指す割合が増加。データ・AIと人間で役割分担して意思決定する傾向あり。
新たな技術トレンドである「生成AI」について、ビジネス変革企業ほど幅広い用途で業務活用。
「生成AI」には、正確性やリスクの観点から人間のチェック・フォローが必要な領域もある。出来ることや精度を見定め、「ヒト×生成AI」の役割分担に基づき業務設計することが重要。
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