MENU

イーネットソリューションズ「merisis Powerクラウド」 ~直販からパートナー経由へ販売戦略を転換 市場の拡大、ニーズの多様化に対応、「顔の見えるサポート」を強化 |IBM iクラウドベンダーの戦略・サービス

データセンター事業者の
IBM iクラウドサービス

イーネットソリューションズは、2018年10月にIBM iクラウドサービス「merisis Powerクラウド」をスタートさせた。同社は2000年にデータセンター事業者として設立され、ハウジングやホスティング、BCP、バックアップなどの各種マネージドサービスを提供してきた。そして2000年代末からは「merisisクラウド」と呼ぶWindows・Linux向けクラウドサービスを開始し、ユーザー数を伸ばしてきた。その数は現在、「約1400社に上る」(同社)という。

また2018年に開始したIBM iユーザー向けのmerisis Powerクラウドも、スタート当初から順調に採用数を増やしてきた。

執行役員の浅田清史氏(ソリューション営業部部長)は、「merisis Powerクラウドは、オンプレミスより低価格なクラウドサービスを目標にスタートし、Power5・6マシンのEOS(保守サービス終了)とスタート時が重なったこともあり、予想以上に採用企業を獲得しました。その後もコンスタントに利用数が増え、IBM iユーザーの間でも年々クラウドへの関心が高まってきているのを実感しています」と話す。

提供中のmerisis Powerクラウドのラインナップは、Power9基盤の「Powerクラウド700」「同1200」「同1700」とPower10
基盤の「Powerクラウド2(1200)」の4タイプ。700、1200、1700という数字は提供されるCPWの上限値を示す。現在、約50社が利用中で、「3000CPW未満で運用可能な中小規模なお客様が大半」という。

同社は2023年7月にmerisis Powerクラウドの直販を止め、パートナー経由の間接販売に切り替えた。

その理由について浅田氏は、「IBM iクラウド市場の急速な成長と地域的な広がり、ニーズの多様化を踏まえると、自社だけでビジネスを伸ばしていくのは早晩困難になり、限界がくると見ています。とくに基幹システムのお客様が中心のIBM i分野では顔の見える営業・サポートが不可欠なので、お客様にきめ細かく対応可能なパートナー様経由の販売に一本化しました」と説明する。

設備・使いやすさを強化
ストレージはオールフラッシュ 

ソリューション営業部チーフの石黒和伸氏は、「当社のIBM iクラウドサービスにはデータセンター事業者ならではの特徴があります」と、次のように語る。

「まず設備面でPower10サーバーをいち早く投入したことが挙げられます。merisis Powerクラウドのご利用状況を見ると、データ量が年を追うごとに増え、大規模なデータ分析などのニーズが広がっています。この課題に対応するには、Power10のようなよりパワフルなシステムが必要です。またディスクベースのストレージではデータの高速処理に限界があるので、提供するストレージをすべてフラッシュに切り替えました」

使いやすさの面では、使用中のネットワーク設定をそのまま利用できるL2延伸に対応している。これにより運用中の仮想サーバーをそのままの設定で移行したり、基幹サーバーなどのIPアドレスを変更せずに移行できる。また同じデータセンター内でWindowsやLinuxのパブリッククラウドサービスも稼働させているので、「オールインワンのクラウドサービスが強みです」と、石黒氏は話す。

同社は2023年12月に、あるPower7ユーザーのクラウド移行を支援した。「保守サポート期限ぎりぎりのご依頼で、我々にとっては新規のお客様でしたが約1カ月間で移行を完了しました。今後Power8のユーザーを含めてEOSを控えたお客様のクラウド移行が増えるだろうと予想しています。約50社へのクラウド移行支援の経験を基に、お客様のお困りごとに幅広く対応していきたいと考えています。とくにお客様のご要望の高いアプリケーション保守は拡大する予定です」と、浅田氏は語る。

merisis Powerクラウドの2024年の目標は、「再販パートナーを全国で増やすことと、関東で採用企業を伸ばすこと」。中期的な目標は「ユーザー数を200社に伸ばすこと」だが、「50社の経験とパートナー様との連携によって、そう遠くない日に達成できると考えています」と、浅田氏は自信をのぞかせる。

 

図表 merisis Powerクラウドの料金体系

 

[i Magazine 2024 Spring掲載]

新着