text:アッシュ・ギディングス Maxava
仮想シリアルナンバー
IBM i上のサードパーティー・ベンダーのライセンスに関して、多くのベンダーがキーをシリアル番号に結びつけて管理しているため、企業はそのことに課題を抱えています。
これは、今まではうまく機能してきました。しかしこの4年で、ライセンス購入モデルからサブスクリプションベースのSaaSモデルへと、クラウドへの移行が大幅に増加しています。
パブリッククラウドには、パーティションを特定のシリアル番号に固定する機能がありますが、これを選択すると、どのノードでもパーティションを開始できる機能は失われます。
IBMはクラウドの運用性を高めるために、POWER9とPower10上の7.2(PTF適用可)で仮想シリアルナンバーを導入しました。これによりパーティションの移植性を大幅に向上し、クラウドフレンドリーに変化させました。
Power Virtual Server
Power Virtual Server はIBM のオフプレミス・ソリューションで、Power Systems のユーザーが、クラウド上のスケールアウト/スケールアップ双方の環境でワークロードを実行できるようになります。
今回の発表では、このソリューションに1~5年の利用が可能な「消費型モデル」が加わりました。
保存と復元
オブジェクトの保存・復元に使用されるアルゴリズムが改良され、Power10のハードウェア上でより高速に、かつ低負荷で稼働するようになりました。また圧縮率も改善されました。
IFS オブジェクトを保存する際、SAV コマンドの ASYNCBRING パラメータのデフォルトが変更されました。このパラメータはデフォルトでは*YESに設定されており、これによりパフォーマンスを改善します。また、BRMS を使用する場合は、このデフォルトを有効にするプロセスもあります。
またオブジェクトの復元時に、進行状況を示すメッセージには復元されたオブジェクトのサイズが表示されるようになりました。これは災害発生時に、とくに有効です。
セキュリティ
CPF22E2で無効なユーザープロファイルまたはパスワードが入力された場合、「ユーザー&1が存在しないか、ユーザープロファイルのパスワードが正しくありません」というメッセージが表示されるようになりました。
システム値 QPWDLVL を 4に設定できるようになりました。これを使用すると、長さ 1~128 文字のパスワードが使用でき、パスワードレベル 0、1、2、3のパスワードがシステムから削除されます。
IBM i サービス
近年の大きな成長分野であるIBM i サービスは、Access Client Solutions(ACS)を介して、多数のシステムを操作する最新の方法です。
7.5では、TELNET_SERVICE_ATTRIBUTESとCHECK_PASSWORDという2つの新しいサービスが提供されています。また、既存サービスの中の13種類が強化されています。
統合ジョブスケジューラ(WRKJOBSCDE)
この無償のシンプルなスケジューラには、毎年実行するジョブをスケジュールする機能である*YEARLYが追加されました。
またHLDJOBSCDEを使って、個々のジョブの状態を保持したままジョブスケジューラ自体を保持し、RLSJOBSCDEコマンドに関連したスケジューラをリリースすることも可能です。
Access Client Solutions(ACS)
要望の多かったACS の SQL スクリプトの実行機能がタブでサポートされるようになりました。ただしタブを切り替えると、結果を示す画面(パネル)が 1 つしか表示されないので注意が必要です。
多くのパーティションでACSを使用している場合、サーバーを論理的にグループ化する機能の追加は歓迎されるでしょう。
Open Source Package Management は TOOLS のドロップダウンから移動して、ACS のメイン管理エリアに搭載されています。
IBM Navigator for i
このツールに追加された監査ジャーナルのグラフ化機能では、1つまたは複数のエントリタイプの詳細表示またはチャート表示を、日もしくは週単位で参照できます。5250画面に表示するより、ずっとユーザーフレンドリーになっています。
またIBM Navigator for iのPDIエリアでは、特に関心のあるデータをフィルタリングし、現在のビューを維持したまま、新しいタブで関心のあるデータを調べることが可能になりました。
さらにTCPサーバーのSMTP、SNMP、LDAPの設定もサポートしています。
IBM Db2 Mirror for i
IBM Db2 Mirror for iは7.4 で発表され、2 つのノードに同時に書き込むことで、IBM i の継続的な可用性を実現するソリューションとして注目されてきました。現在では一方のノードをアクティブ、もう一方のノードを読み取り専用として設定できます。
読み取り専用ノードの使用例には、BIなども含まれます。また7.5 と 7.4 を混在させることも可能です。
MERLIN
ライフサイクル統合のためのモダナイゼーション・エンジン
厳密にはシステム管理者向けではありませんが、この素晴らしい機能は特筆に値します。ユーザーがIBM iプラットフォームから離脱する可能性を阻止するために、ワークロードとアプリケーションのモダナイゼーション、シンプル化、統合化および自動化を支援するMERLINが発表されました。
OpenShiftコンテナ内に構築され、モダナイゼーションを導くように設計されており、DevOpsやCI/CDの一部を形成し、GITのリポジトリと容易に連携できます。
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著者|アッシュ・ギディングス(Ash Giddings) 氏
Maxava
プロダクトマネージャー
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