MENU

Kubernetesクラスタ数が急増、マルチクラウド/エッジへの展開が増加|VMwareが調査 ~「自社単独のインフラ構築・開発・運用は現実的ではなくなりつつある」とも指摘

VMwareは5月3日(現地時間)、4回目となるKubernetes利用動向調査「The State of Kubernetes 2022」(英語版)を発表した。また5月9日、日本法人ヴイエムウェアは調査概要を発表した。

調査対象は従業員1000人以上の企業で、それらの「Kubernetes責任者」776人が回答した。

回答企業の地域別は、「米国・カナダ」が75%、「欧州」17%、日本を含む「アジア」は1%。従業員数は「1000~5000人未満」が38%、「5000~1万人未満」27%、「1万人以上」36%。

ソフトウェア開発者数は「10人未満」が9%、「10~100人未満」33%、「100~500人未満」22%で、「2500人以上」は16%。またKubernetes関連のエンジニア数は、「5人未満」が7%、「5~10人」16%、「11~20人」22%で、「200人以上」は14%を占める。

今回の調査はKubernetesの急速な普及を示す興味深い内容だが、回答企業は欧米中心(92%)で、日本を含むアジアは1%に過ぎないことを念頭に置いて読む必要があるだろう。

 

調査結果は最初に、「デプロイされているKubernetesクラスタ数の急激な増加」を指摘している。2020年調査では、回答者の30%でクラスタ数が5以下、50以上は15%だったが、今回の調査では、5以下は12%、50以上は29%となり、クラスタ数の増加が確認できた。

また来年度のクラスタ数については、回答者の48%が「50%以上増加」、28%が「20~50%増加」と予想している。レポートでは「現在100クラスタ以上を運用している企業の3分の2が、2022年は50%以上増加すると予測しているのに対し、5クラスタ以下の企業では28%にとどまっている。“成長が成長を生む”現象が起きている」と述べている。

現在運用中の Kubernetes クラスタ数
現在運用中の Kubernetes クラスタ数

Kubernetesの導入理由については、トップ3が「アプリケーションの柔軟性向上」62%、「クラウドの利用率向上」59%、「開発者の効率向上」54%で、以下「クラウドコストの削減」(46%)、「オペレータの効率向上」(37%)が続く。

想定される Kubernetes クラスタ数の増加率
想定される Kubernetes クラスタ数の増加率

導入メリットについては、「リソース利用率の向上」(59%)と「アプリケーションのアップグレードやメンテナンスの容易化」(49%)が前回調査と同じく1位・2位。3位は「クラウドへの移行が可能」(42%)、4位「ハイブリッドクラウド・モデルが可能」(40%)で、このほかグラフには示されていないが、「パブリッククラウドのコスト削減」34%(前回よりも6ポイント増)、「運用メンバーやスキルの有効活用」(32%)、「サイロ化したチームの非効率性の解消」(28%)だったという。

Kubernetesの導入理由
Kubernetesの導入理由

Kubernetesの適用先としては、下図のような結果で、「オンプレミス」「単一クラウド」が若干減り、「マルチクラウド」と「分散エッジ」が増加した。

現在のKubernetesのデプロイ先
現在のKubernetesのデプロイ先

Kubernetesを運用する際の課題としては、半数以上の回答者が「社内に経験やノウハウがない」(51%)を挙げ、さらに「必要な専門家を採用するのが難しい」37%、「Kubernetes/クラウドネイティブの変化の速さ」34%という結果だった。

Kubernetesを運用する際の課題
Kubernetesを運用する際の課題
この結果についてレポートは、「Kubernetesのアーリーアダプターや必要な投資を済ませている大規模組織でない限り、自社でインフラを構築し開発・運用を行うアプローチは、不可能ではないにしても現実的ではなくなってきている」と指摘している。
 

Kubernetesディストリビューションの選定基準は、「導入・運用・保守が容易」(51%)、「製品の機能・ロードマップがニーズに合っている」(45%)、「ハイブリッドクラウド環境で動作する」(41%)の順で、昨年と同じ結果。4位には「商用サポートやプロフェッショナルサービスの有無」(40%)が浮上した。「Kubernetesに関する専門知識が不足しているため、サポートやサービスと組み合わせたよりシンプルなKubernetesソリューションでギャップを埋めようとしている」と、レポートは述べる。

Kubernetesディストリビューションの選定基準
Kubernetesディストリビューションの選定基準

Kubernetes環境の規模が大きくなるにつれて運用を効率化するツールへの需要が高まっている。調査結果では、「データセキュリティ・保護・暗号化」(36%)、「クラスタ・ライフサイクル管理」(34%)、「プラットフォーム監視・アラート」(30%)、「GitOps・プラットフォーム自動化」(24%)がトップ4となった。回答者の97%が、「重要なKubernetesのサポート/サービスに対してはコストをかける」と回答しているという。

Kubernetesを本番で運用する際にもっとも重要なツールや機能
Kubernetesを本番で運用する際にもっとも重要なツールや機能

また、この中でもセキュリティに関しては、「クラスタやチーム間で一貫した方針の適用」(46%)と「クラスタへのアクセス制御」(35%)が前回調査よりもポイントを増やし、「セキュリティの焦点に変化が生じている」と指摘している。

Kubernetes を使用する上で最大のセキュリティ上の懸念事項
Kubernetes を使用する上で最大のセキュリティ上の懸念事項

 

・ニュースリリース「VMware、2022年のKubernetesの現状に関する調査結果を発表」
https://blogs.vmware.com/vmware-japan/2022/05/stateofk8s2022.html
・VMware「The State of Kubernetes 2022」
https://hello-tanzu.vmware.com/state-of-kubernetes-2022/

[i Magazine・IS magazine]

新着