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IBM iとLINEをAPI連携して顧客接点の強化に取り組む ~注文内容や配送状況をLINEから問い合わせることが可能に |株式会社優生活

株式会社優生活

本社:大阪府吹田市
設立:2006年
資本金:4500万円
売上高:34億円
従業員数:53名(パート社員を含む)
事業内容:一般消費者に対するダイレクトマーケティング
https://www.youseikatsu.jp/

生活協同組合向けに各種生活用品を企画開発・製造・販売するトップ産業株式会社のグループ会社として、2006年に設立。一般消費者向けの総合通販企業であり、日用雑貨、自然食品、健康食品、医薬品、産地直送商品など多彩な商品を提供している。冬季の人気商品はカニをはじめとする海産物。そのほか明太子や梅干しなど、通年で700~800アイテムの商品ラインナップを揃えている。

IBM iの基幹データとLINEを
APIで連携する

優生活のサイトには、冬季の人気商品であるカニをはじめ、多彩な海産物・水産物がずらりと並ぶ。注文方法は4種類。新聞やテレビ、年8回届くカタログなどを見ながら電話、カタログ添付のはがき、FAXのいずれかで注文する方法、もしくはWebに会員登録して画面から注文する方法である。

購買者の年齢層が比較的高いことから、電話による注文が最も多く、全体の80%を占める。Webからの注文は増加傾向にあるが、それでもまだ全体の10%程度にとどまっている。

電話やはがき、FAXで注文した場合、購入者が主に電話で、納品日を問い合わせる頻度が高まる。とくに受注数が急増する冬季には問い合わせの数も増えるので、コールセンターの人員手配に追われることになる。

ITデザイン本部 システムソリューション部で基幹システムや社内インフラを担当する吉田昌二課長は、とくに冬季にひっ迫するコールセンターの業務状況を解決する方策を考えるなかで、基幹システムとLINEを連携し、購入者がスマートフォンから受注内容や納品日、配送状況を確認できる仕組みを実現できないかと考えていた。

吉田 昌二氏

「お客様の年齢が比較的高いこともあり、Web経由の購入が一朝一夕に増えることは期待できません。LINEも2021年12月からスタートしていましたが、キャンペーン情報などのお知らせを通知するだけでは、なかなかお客様とのコミュニケーションレベルを向上させられませんでした。しかし家族や友人との連携に日常的に利用しているLINEを活用して、受注内容や納品日を確認できる仕組みを作れば、コールセンターの人員を増やさずとも、お客様への問い合わせに迅速に対応できるのではないかと考えました」(吉田氏)

グループ会社のトップ産業がIBM iユーザーであったため、同社は設立当初から販売管理・受発注・在庫管理・顧客管理などの基幹システムをIBM i上で運用してきた。そこでIBM iの受注データをLINEのチャットボットに連携することで、顧客対応の仕組みを実現できないかと発想した。

ヒントになったのは、以前から利用しているIBM i向けデータ抽出・加工・配布の自動化ツール「PHPQUREY」の開発元であるオムニサイエンスが販売を開始したIBM i向けのAPI作成ツール「API-Bridge」である。吉田氏は、オムニサイエンス主催のオンラインセミナーに参加することで、APIによる連携の手法を知った。

API-Bridgeは社内で
LINEチャットボットは社外で開発

APIを使用する以外にも、基幹データを別サーバー上のデータベースに保存し、LINEに連携する手法なども検討したが、導入費用や外注コストが膨らむこと、さらにセキュリティ面の不安などもあり、別データベースの設置が不要となるAPI連携を選択したという。

「RPGによるアプリケーション保守を社内で実施しているのと同じ感覚で、API作成も内製化していきたいとの希望がありました」(吉田氏)

LINEを活用した問い合わせの方法は、以下のようになる。

顧客はまず、同社のLINEに友だち登録する。そして電話、はがき、FAX、Webのいずれかで商品を注文する。LINEの画面上には配送状況を確認するボタンがあるので、そこに認証情報(氏名と電話番号、お客様番号と電話番号、お客様番号と氏名のいずれかの組み合わせ)を入力すると、LINE上で注文内容を確認できる。

すなわち受注日、支払方法、運送便名(配送会社)、お届け指定日時、送付先住所、商品内容などの情報が表示されるわけだ。ここから配送会社のURLに飛んで、配送状況を確認することも可能である。

この仕組みを実装するにあたり採用したのが、オムニサイエンスが提供するLINEに特化したAPI作成ツールである「API-Bridge Solution Edition for LINE」、およびLINE用のチャットボットを作成するサービスである「LINEスターターパック」である。

購入者がLINE経由で問い合わせした内容はリクエストとして、同社社内に設置されたLinuxサーバー上のチャットボットプログラムで受信され、IBM iの基幹データ取得およびプログラムの実行に向けて、IBM i側のAPI-Bridgeに送られる。そして必要データをIBM iからチャットボットプログラム経由で、購入者のLINEにフィードバックする仕組みである。

図表 IBM iとLINEのAPI連携

LINEスターターパックでは、オムニサイエンスがLinuxサーバー上でNode.jsによりチャットボットプログラムを作成。IBM i側では吉田氏がAPI-Bridgeを使って、APIを作成した。いずれも開発期間は1カ月程度である。LINEによるこうした運用は、2022年12月にスタートしている。

2021年12月からLINEを開始して、お知らせなどの情報を送信していた約1年間の運用時期に比べると、納品日や配送状況を確認できるサービスを開始した2022年12月以降は、LINEの「友だち」数が飛躍的に増加しているという。

ここまでの仕組みが、第1フェーズであるが、続く第2フェーズでは、LINEでの注文受付を可能にし、画像を添えた商品の確認・発注、数量の入力などにより注文を確定させるショッピングカート機能を実装する予定である。

「APIの概要や機能、作成方法は第1フェーズでほぼ学習できたので、今後はショッピングカートに必要な画像情報のハンドリングをどうするか、具体的には画像データベースの配置や商品情報と紐づける方法などを検討しながら、実施に向けて開発を進めていく予定です」

こう語る吉田氏は、今春にも新しい機能を追加したいと全力で開発に取り組んでいる。

[i Magazine 2023 Winter(2023年2月)掲載]