MENU

要員問題・システム安定稼働の課題をIBM iクラウド採用で解決 ~merisis Powerクラウドを選択、長期的にはクラウドのほうが低コスト・高メリット |株式会社スウェーデンハウス

株式会社スウェーデンハウス
本社:東京都世田谷区
創業:1984年
資本金:4億円
売上高:432億円(2023年3月期)
従業員数:795名(2023年10月1日時点)
概要:スウェーデンより輸入する組立建物の製造・販売・設計・施工・監理など。木材・木製品の製造販売、不動産事業なども展開する。
https://www.swedenhouse.co.jp/

会計システムをIBM i上で運用

スウェーデンハウスは今年2月、オリコンが実施する「オリコン顧客満足度」の「ハウスメーカー 注文住宅」部門で第1位を受賞した(調査対象:55社、回答:1万7196人)。2015年から10年連続の第1位で、著名な大手ハウスメーカーを差し置いての快挙である。詳細を見ると、「デザイン」「住居の性能」「設備・内装の質」などの項目別(13項目)のすべてで第1位、「築年数別」「年代別」「工法別」などの6部門7項目で第1位を獲得した。群を抜く高い顧客満足度といえる。

「当社では“品質”を事業の生命線とし、木材を基調とした人と環境にやさしい住宅をご提供しています。福祉先進国スウェーデンの住宅思想を基本に断熱性と遮音性に優れ、地震や火災などに強く、安全と安心を実感していただける住宅です」と語るのは、情報システム部次長の栗本亮二氏である。

同社では2000年代からIBM i上で会計システムを稼働させてきた。そのほかの販売管理や人事・給与、物流システムなどの基幹システムはWindowsベースで、いずれも自社開発である。会計システムはiSeries Site(経理)をカスタマイズした。

情報システム部門は7名の構成。部長・次長を除く5名のうち3名は基幹システム、2名はPCと子会社システムなどの担当である。

要員確保の狙いでIBM iをクラウドへ移行

同社は2021年にIBM iをクラウドへ移行した。IBM iのリース切れのタイミングで切り替えたものだが、栗本氏は「以前からクラウド化したい意向をもっていました」と話す。

その理由の1つは、要員確保の問題である。IBM i上に会計システムを導入した20年前にはベテラン社員が在籍していたが、退職後はIBM iに詳しい社員が不在となり、外部のパートナーに運用・保守を委託してきた。

「パートナーとの関係は良好で何の問題もありませんでしたが、それとは別にこの体制をいつまで続けられるのか見通しが立たないところがありました。当社は自社開発・自社運用を基本にしているため要員の募集をほぼ常時かけていますが、目論見どおりにいかないことが大半で、先行きに不安がありました。人手に頼る運用を抜本的に変える策として選択したのがクラウドでした」(栗本氏)

 もう1つの理由は、Windowsベースの基幹システムで過去に深刻なトラブルがあり、安全性・安定性の面からもクラウド化を念頭に置いていた。そのトラブルとは、本番機をアップデートした際に不具合が生じ、システムがほぼ終日停止したことという。

「契約書の作成や受発注、顧客管理に使用していたシステムだったので業務やビジネスに大きな影響が出ました。それ以降、システム基盤の選択や運用には慎重のうえにも慎重を期すようになりました」と、栗本氏は振り返る。

「merisis Powerクラウド」を
移行先として選択

IBM iの移行先として、イーネットソリューションズの「merisis Powerクラウド」を選択した。それ以前にIBM iの購入先のベンダーにオンプレミスとクラウドのコストを打診したが、「クラウドはコスト面で見合わない」との回答で断念した経緯があった。しかし「クラウドへ移行したい」との思いは強く、継続して探索する中でmerisis Powerクラウドに出会ったという。

「たまたまアフターメンテナンスの業務システムの運用先がイーネットソリューションズのmerisisクラウドであったこともあり、あらためて説明を受け、ほどなく採用を決めました」と、栗本氏は言う。

2021年1月にクラウドへの移行作業がスタートした。オンプレミスの内容をそのままクラウドへ移すリフトで、作業を担当したイーネットソリューションズはリモートからスウェーデンハウスのシステムに入り、稼働環境やプログラム、トランザクションの状況、データ容量などを調査したうえでサイジングを行い、本番移行を実施した。調査・移行は計画どおりに進んだという。本番開始は2021年11月である。

サービスイン直後は「狙いどおりにレスポンスが出ない」状況に見舞われた。そのためCPUやメモリを増設したが改善が見られず、あらためて調査したところ、過去の膨大なバックアップデータが要因であることが判明し、削除後、レスポンスを回復した。その結果、増設したCPUやメモリを元に戻し、当初のサイジングどおりの運用が可能になった。

コストについては、「サーバー単体で見ると現状ではクラウドのほうが高くついていますが、IBM iのクラウド移行によってオンプレミス側の基盤整理が可能になったので、今後はIBM iクラウドのほうが低コストになると見ています」と、栗本氏は話す。

2023年10月に今度はWindowsベースの基幹システムをイーネットソリューションズのクラウドサービス「merisisクラウド」へ移行させた。これにより要員問題とシステム安定運用への対処というクラウド化の所期の目的を達成した。

「今後は、VBScriptで開発されレガシー化している基幹システムの改築や物流システムの再構築などシステム化案件が山積しています。しかし従来システムのクラウド化によってそのぶんの余力と気持ちの余裕が生まれているので、その効果も小さくないと考えています」と、栗本氏は語る。

図表 IBM iとWindowsのクラウドへの移行

 

[i Magazine 2024 Spring(2024年4月)掲載]

新着