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「楽楽明細」を利用して取引先への請求書・納品書・領収書を電子化 ~「API-Bridge」経由でIBM iから「楽楽明細」へデータ送信 |新興プラスチックス株式会社

新興プラスチックス株式会社
本社:東京都江東区
創業:1897年
設立:1950年
資本金:9900万円
売上高:172億円(単体)、181億円(グループ合計)(2024年6月期)
従業員数:150名(単体)、338名(グループ合計)(2024年6月末)
事業内容:プラスチックシート、フィルム、原材料、関連副資材及び樹脂加工製品等の販売
https://www.shinkopla.co.jp/

取引先への
請求書・納品書・領収書を電子化

新興プラスチックスは、プラスチックシートやフィルムをはじめとするプラスチック材料および関連製品、樹脂加工製品などの販売を手がける専門商社である。

自社製品およびメーカー製品を取り混ぜながら、サインディスプレイやガラスウィンドウ・フィルム、椅子など独自デザインのファニチャー製品、車内内装や電装関連、そしてスマートフォンのディスプレイパネルなど、同社のプラスチック材料を使用する製品は多岐に渡っている。

最近ではコロナ禍への対策手段としてよく見られた飛沫防止シート、さらに押し活に欠かせないアクリルスタンドやアニメのキャラなどにも利用されている。

同社は1980年代、System/38時代からのIBM iユーザーである。基幹システムとして販売・在庫管理システムを運用しており、2009年には基幹システムの全面再構築を実施した。システムの利用年数が長くなり、新しい業務要件への対応や効果的なデータ活用が難しいと判断したうえでの再構築であった。このときはRPG Ⅲで開発された、あるパッケージ製品を大幅にカスタマイズして導入している。

ここ数年、改正電子帳簿保存法やインボイス対応なども視野に入れつつ、客先に向けた請求書・納品書・領収書を電子化してペーパーレス化を図ることを検討していた。その検討作業が具体化し始めたのは、2022年ごろのことだ。

帳票の電子発行に対応するいくつかの代表的な製品を比較検討し、「楽楽明細」(ラクス)の採用を決定した。実績や機能、それにオンライン送付と郵送代行の双方に対応している点などが決め手となった。

そこで次に、IBM i上で運用する基幹システムの対象データを、どのように楽楽明細へ送信するかが課題となった。

楽楽明細で準備されているAPIをIBM i側から実行し、楽楽明細のデータを送信する手段として、2つが候補に挙げられた。

1つは、IBM i向けのAPI作成ツールである「API-Bridge Solution Edition for 楽楽明細」(MONO-X)(以下、API-Bridge)。

そしてもう1つは、再構築時に支援した外部ベンダーからの提案で、IBM iから対象データをいったんWindowsサーバーに送信し、そこから手組みのAPIプログラムを経由して、楽楽明細に送るという方法である。

同社でITを担当する総務部の吉田司システム管理マネージャーはこの2つの提案を検討した結果、API-Bridgeの採用を決定した。

「Windowsサーバーを設置せず、できるだけIBM i上で完結させたかったのが大きな理由です。それに手組みのAPIプログラムは、提案してきた外部ベンダーとは異なる別のベンダーが開発すると聞いて、システムが複雑化し、かつブラックボックス化することを懸念しました。手組みゆえの開発コストが加わるので、全体的な導入コストが高くなることも懸念材料となり、すでに実績のあるAPI-Bridgeの採用を決定しました」(吉田氏)

吉田 司氏

API-Bridgeを採用して
IBM iから楽楽明細へデータを送信

基幹システムから楽楽明細へデータを送信する流れは、以下のとおりである。

まずIBM i上の基幹DBから請求書・納品書・領収書の対象データを抽出し、IFS区画へ保管する。次に、API-Bridgeで楽楽明細のAPIを実行する。そしてAPI実行時に抽出した対象データをパラメータ情報(テキストデータ)として、楽楽明細へ送信する(図表)。

図表 API-Bridgeによる楽楽明細とIBM iの連携

 

Db2 for iの対象データをテキストデータに変換するプログラムの作成は、外部ベンダーが担当した。

吉田氏は2024年12月末までに、電子化を承認した一部の取引先を対象に、楽楽明細の運用開始を予定している。

ただしここで問題が1つ浮上した。楽楽明細はオンラインでの電子化と郵送代行の双方に対応しているが、郵送の宛先はシステムの関係で1社につき1カ所のみとなっている。

同社の取引先には、請求書・納品書・領収書のそれぞれで郵送先を変えてほしいとの要望をもつケースがある。しかし楽楽明細ではこれに対応できないので、どう解決するかを検討中である。

「郵送先の異なるケースのみ当社で郵送作業に対応し、それ以外のケース、つまり電子化に対応可能な取引先、および郵送の継続を要望する取引先ともに楽楽明細へ移行することを計画しています。取引先への確認を経て、2025年度中には、大半の取引先を楽楽明細へ移行したいと考えています」(吉田氏)

 

[i Magazine 2024 Autumn 掲載]

 

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