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JIPDECとITRが「企業IT利活用動向調査2024」の結果を発表 ~ランサムウェア感染被害企業は47.1%、身代金を支払った企業の3分の2が復旧できず

日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は3月15日、国内企業983社のIT戦略策定または情報セキュリティ施策の従事者を対象に、2024年1月に共同で実施した「企業IT利活用動向調査2024」の結果を発表した。

生成AI、DX、ランサムウェアに関する調査では、以下のような結果が出ている。

生成AIの使用企業は35.0%、導入進行中が34.5%
今後急速な拡大が見込まれる

業務での生成AIの使用状況について、「会社で構築・契約した生成AIを使用している」が15.9%、「各自で契約・登録した生成AIを使用している」が19.1%となり、合わせて35.0%の企業が生成AIを使用していることがわかった(図表1)。

また現時点では、企業が用意した生成AIよりも、従業員個人が登録した生成AIがより多く使用されている状況にある。しかし、「会社が生成AIの導入を進めている」が34.5%を占めていることから、今後、会社で構築・契約した生成AIを導入して業務で活用する企業が急速に増えていくとみられる。

図表1 業務における生成AIの使用状況

生成AIの使用では
機密情報の漏洩とハルシネーションが大きな懸念点

生成AIに関する利用規定やガイドラインを策定している企業の割合は、会社で構築・契約した生成AIを使用している企業では68.6%に上ったのに対し、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業ではわずか9.0%にとどまった。

また生成AIを使用していくうえでの懸念点については、企業で構築・契約した生成AIを使用している企業では、「社内の機密情報(個人情報含む)を生成AIの学習データとして使用し情報漏洩する」が最多の67.3%に上った(図表2)。

図表2 生成AIを使用していくうえでの懸念点

一方、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業では26.1%にとどまり、これらの企業では利用規定もほとんど策定されておらず、情報漏洩リスクに対する危機感が薄いことがわかった。

また各自で契約・登録した生成AIを使用している企業では、「生成AIが出力した偽情報を従業員が信じ業務で使用する」が46.3%で最多となり、会社で構築・契約し使用している企業でも42.3%となった。

業務で生成AIを使用していくうえでは、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)に対する懸念や不安が多いことが明らかになった。

DXでは「業務のデジタル化・自動化」で半数が成果あり
ビジネス成長に向けた取り組みでは成果が少ない

DX(デジタルトランスフォーメーション)を実践している企業に対して、具体的な取り組み内容とその成果について質問した(図表3)。

図表3 DXの取り組み内容と成果の状況

社内の業務や働き方に関するDXを「内向きのDX」、顧客向けの新たな製品やサービス、マーケティングに関するDXを「外向きのDX」と分類した。

「内向きのDX」で最も取り組みが進んでいるのは「業務のデジタル化・自動化」であり、50.8%の企業で成果が出ており、次いで「ワークスタイルの変革」では36.9%で成果が出ている。

一方、「外向きのDX」で最も成果が出ているのは、「データに基づいた営業・マーケティングの高度化」で28.9%となり、次いで「顧客体験や顧客接点のデジタル化」が28.5%となった。

ただし「外向きのDX」の取り組みは、いずれも取り組んではいるが成果が出ていない割合がより高い結果が見て取れる。今後は「外向きのDX」でいかに成果を出し、ビジネスの成長や顧客満足度の向上を図っていくかが重要になる。

また、DXを実践していくうえでの課題については、52.4%と過半数の企業が「情報セキュリティ対策」を課題と認識していることがわかった。その他の課題としては、「DX人材の育成と獲得」が38.8%、「従業員のDXに対する理解や協力姿勢」が38.1%、「新しいデジタル技術の選定と導入」が37.5%となった。

ランサムウェアの感染経験のある企業は47.1%
身代金を支払った企業の3分の2が復旧できず

ランサムウェアの感染被害の経験については、47.1%がランサムウェアの感染経験があることがわかった(図表4)。

図表4 ランサムウェアの感染被害の経験

このうち、「感染被害に遭い、身代金を支払ってシステムやデータを復旧させた」が9.0%、「感染被害に遭い、身代金を支払ったがシステムやデータは復旧できなかった」が17.9%となり、合わせて26.9%が身代金を支払った経験を持つが、このうち3分の2は復旧できなかったことになる。

サイバー攻撃対策については、「極めて優先度が高く、積極的に投資を行っている」企業は37.5%、「優先度が高く、継続的な投資を行っている」が36.7%となり、今後もサイバー攻撃対策への投資は一層拡大していくとみている。

また情報漏洩対策についても、「極めて優先度が高く、積極的に投資を行っている」企業が27.1%、「優先度が高く、継続的な投資を行っている」は44.9%に上り、外部向けだけではなく、内部向けのセキュリティ対策への投資も重点的に行われていることがわかった。

 

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