高度な画像認識機能により
幅広く自動化可能
ipaS(アイパス)は、テクノロジーコンサルティングとシステムインテグレーションを事業として推進するデリバリーコンサルティングが、自社開発の「テスト自動化ツール」を発展させて製品化したRPAツールである。
「当初は市販のテスト自動化ツールを使っていましたが、異なるシステムの連携テストで使い勝手が悪かったため、先進の画像認識技術を適用して自社で製品化をしました。その仕組みは、基本的に画面上の操作を認識して自動化プログラムを作成するRPAの方法と同じなので、ツールとしての体裁を整えて製品化しました」と、サービス開発事業部事業部長の関貴士氏(RPAソリューション部部長を兼務)は説明する。
ipaSはデスクトップで稼働するツールである。関氏は「企業の生産性向上には個人の業務効率化こそ重要との認識があり、ipaSはデスクトップ型を追求したRPAツールです」と、次のように語る。
「RPA市場はサーバー型のツールから始まりましたが、サーバー型は事務センターのような大量少品種の業務自動化に向き、人員削減などに効果を発揮します。これに対してデスクトップ型は、現場担当者の作業効率化を目指すもので、少量多品種の業務に向いています。現場担当者のPCにはさまざまな情報資産やアプリケーションがあり、デスクトップ型のRPAツールなら、それらを自在に活用できます。当社がデスクトップ型にこだわる理由はそこにあります」
これを受けてサービス開発事業部RPAソリューション部の山本智嗣氏(テクノロジー推進部副部長を兼務)は、「ipaSは、非IT系の現場担当者でも簡単に設定できることをコンセプトに開発された製品です」と続ける。
「一般的な月次の計数処理でも、シーケンシャルな作業だけではなく条件分岐や繰り返しの処理があるのがふつうです。ipaSでは、条件分岐やループ処理のコマンドを選択してプロパティをセットするだけなので、非IT系の人でも開発が可能です。デスクトップ型は使いやすさが命と考えています」(山本氏)
ipaSは高度な画像認識機能を備えるので、デスクトップ画面上に表示されるアプリケーションは、「印刷ロックがかかっているエミュレータなどを除き、どのようなものでも自動化可能です」と同社では強調する(図表1)。
【図表1】ipaSの自動化対象と自動化オペレーション
管理機能「ipaSマネージャ」の
リリースを予定
自動化プログラム(「スクリプト」と呼ぶ)の基本的な作成方法は、対象とするアプリケーションを開発画面上に表示させ、操作する部分をマウスで囲んでキャプチャし、そこで行うアクションを画面上部のコマンド一覧から選択してセット。それ以降の操作も同様に、キャプチャとアクションをセットすることで完成できる(図表2)。条件分岐の作成なども同様である(図表3)。
【図表2】PCの基本操作のみでノン・コーディングでスクリプト作成
このほか、Web画面などはHTMLソースの解析でもオブジェクトを認識でき、さらにIT担当者向けとしてJavaScriptを埋め込める機能などもある。
ipaSの特徴は次のとおりである。
・非IT系部門に向くデスクトップ型RPAツール
・高度な画像認識技術により、
PC上のあらゆる操作を自動化可能
・PCの基本操作のみでスクリプト開発
・バッチ処理の自動化も可能
同社では2018年第1四半期にipaSの管理機能を備えた「ipaSマネージャ」のリリースを予定している。これは、各端末で稼働するipaSとスクリプトを一元管理し、スクリプトの配布・スケジュール管理やログ管理などの機能をもつ。
「“野良ロボット”を放置せず、ipaSを全社規模で活用していくための管理・統制ツールで、かつてのエンドユーザー・コンピューティング・ブームのなかで起きたようなガバナンスの効かない状況を回避できる製品です。RPA分野でも今後不可欠になるツールとしてリリースします」と、関氏は話す。
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●価格
サブスクリプションライセンス(保守サポートを含む)
・フル機能版(設定・実行可能):月額12万円
・実行専用版:月額4万円
プロダクトライセンス(保守サポートを含まない)
・フル機能版(設定・実行可能):288万円
・実行専用版:72万円
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関 貴士氏
株式会社デリバリーコンサルティング
サービス開発事業部 事業部長
兼 RPAソリューション部 部長
プリンシパル
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山本 智嗣氏
株式会社デリバリーコンサルティング
サービス開発事業部
RPAソリューション部
兼 テクノロジー推進部副部長
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IS magazine No.18(2018年1月)掲載