IPA(情報処理推進機構)は4月25日、「Society5.0を実現するためのReスキル等の促進に係る調査報告書(2021年度)」を発表した。
IPAでは2018年度から毎年、DX人材に関する実態調査を実施してきたが、今回の調査は「DX人材の育成(reスキル)」の観点から人材ニーズをあらめて整理し、reスキルの促進を目的とする「スキル標準」について検討結果をまとめたもの。
多くの企業が取り組みを進めるDX人材育成プログラムの参考になると思われるので、紹介してみよう。
報告書は、これまでのIT人材育成政策が、「デジタル技術を実装する専門人材」を中心に推進されてきたのに対して、今後は「DXを企画・推進する専門人材」や「デジタル技術を高度に活用する専門人材」「基本的なデジタルリテラシーを備えた人材」などが必要になるとして、下図のような「デジタル人材の全体像」を描いている。
上図によると、デジタル人材(専門人材)は、ビジネス系、高度活用系、テクノロジー系、セキュリティ系と、ビジネスパーソンの5つに分類され、それぞれに必要なスキルが5つの領域に分けられて示されている。またITSSとの対応関係も表示されている。
スキル領域は、「ビジネス・イノベーション」「データ活用・AI」「セキュリティ」「システム関連技術(開発・運用)」「汎用」の5つ。それぞれの重要度が、★~★★★の数で示されている。
報告書ではさらに、デジタルアーキテクトやUXデザイナーなどの各職種・ロールに対する人材ニーズの内容と、必要とされるスキル標準(「育成基盤」スキル標準)、認定方法(「育成基盤」試験・資格・育成手法)についても整理している。
報告書は末尾で、「これまで我が国では、個別の業態や領域別にスキル標準が示されてきたが、そのアプローチでは、広範な企業等におけるデジタル人材育成や個人の成長目標を一元的に示すことが難しい」とし、「今後、デジタル人材“全体”を体系的にカバーする“新たなデジタル人材のスキル標準”を策定することを提言する」と結んでいる。
・「Society5.0を実現するためのReスキル等の促進に係る調査報告書(2021年度)」
https://www.ipa.go.jp/files/000098124.pdf
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