X-Analysisをリ・ブランドし、IBM iモダナイゼーションを強力に推進
ジェニファー・フィッシャー氏
Fresche Solutions Inc. Vice President, Ecosystem & Strategy
活発なM&Aと製品ポートフォリオの拡充により世界屈指のIBM iソリューションベンダーへ。日本戦略を強化世界で2万社以上のIBM iユーザーを顧客としてもち、運用管理とモダナイゼーション分野のリーディング企業であるFresche Solutionsが、日本戦略を強化している。iSUCに合わせて来日する同社VPのジェニファー・フィッシャー氏に、IBM iユーザーの現状と課題、モダナイゼーションのメリット、日本戦略などをうかがった。
IBM iユーザーの
世界共通の課題
i Magazine(以下、i Mag) 最初にFresche Solutionsをご紹介ください。
フィッシャー 当社は、IBM iの運用管理とモダナイゼーション分野のリーディング企業で、IBM iアプリケーションの運用管理と拡張、進化をご支援するさまざまな製品・サービスを提供しています。世界最大のIBM iソリューションベンダーでもあり、GUI・Web・モバイル、アナリティクス、レポート&ドキュメント配布、コード/データベース、コンサルティング、人材派遣、アプリケーション・サービス分野のソリューションをそろえています。
社員は400名で、2万2000社のお客様をもち、世界各国のオフィスとパートナーネットワークを通じてIBM iのお客様のビジネスとIT活用をご支援するユニークなポジションを保持しています。日本では、ジーアールソリューションズとソルパックなどが正規パートナーです。
i Mag 活発にM&Aを行っていますが、その狙いは何ですか。
フィッシャー 2010年以降の企業買収は、当社の大きな戦略でした。IBM iユーザーの多様な要求にお応えするポートフォリオを整備するために、各分野で最高のソリューションの獲得を目指したのです。その結果、当社は現在、IBM iのアプリケーション・メンテナンスからモダナイゼーションまで、企業規模や予算規模にかかわらず、ワンストップですべてをご提供できるベンダーになっています。
i Mag IBM iユーザーの現状をどう見ていますか。
フィッシャー 私どもが繰り返し認識し、IBM iユーザーにとって世界共通の課題と考えるものがいくつかあります。たとえば、進化するビジネスからの要求に即座に対応するITの俊敏性(アジリティ)。この課題には、分析およびテスト用ツールの導入によって開発とテストを高速化することにより対処可能です。
また、新しいシステム部員の早急な育成・研修も課題です。これには、設計文書の自動作成ツールが役に立ちます。さらに熟練技術者の確保も課題ですが、オープンソース・ソリューションの採用によって、その敷居を下げられます。それは、モダナイゼーションに強みをもつオープンソース対応のベンダーを採用するときにも有利に働くはずです。
それと、IBM iと外部アプリケーションやデバイスとの統合は、最も多く言及される課題の1つです。しかし、大半のユーザーはその統合がAPIによって簡単に実現できるとは考えていません。どんなデバイスからもアクセス可能な最新のUIは、実績のあるツールによってこそ、クイックかつ自動的に生成できるのです。
i Mag 課題はあるが、解決策もあるということですね。
フィッシャー 簡単に言えば、IBM iユーザーの最大の課題は、IBM iでできることをあまり詳しくご存じないということです。たとえ知っていたとしても、それを活用する方法を知りません。あるいは、IBM iシステムの本当の価値をご存じないのです。
IBM iは実際、ユーザーの要望に合致する最先端のサーバーで、さまざまなことが可能ですが、依然として「何を、どうモダナイズするか?」「グリーン画面をどのようにモダンなUIにアップデートするか?」「30年来のアプリケーションをどうドキュメント化するか?」「その洞察をどのように新しいユーザーに提供するか?」「新しいシステムとどのように統合するか?」といった質問が飛び交っているのです。
IBM iモダナイゼーションの
ほんとうのメリット
i Mag モダナイゼーションのメリットは何ですか。
フィッシャー ビジネスは、ITの変化が進むことを何よりも必要としています。企業は、旧来のシステムに大きなビジネス価値があることを見いだしています。そしてモダナイゼーションはそれらのシステムを維持し、その価値から利益を得続けるための最も手堅い方法なのです。
モダナイゼーションの長所は、段階的に拡大が可能な点です。モダナイゼーション・プログラムは複数のサブ・プロジェクトに分割でき、それによってユーザーは、個々の取り組みに優先順位を付け、リスクをコントロールし、コストを管理することができます。
そのなかで、IBM iユーザーがモダナイゼーションの一環として、クラウドを採用しつつあることを私どもは認識しています。ただし、そうしたすばやい動きを見せているのはごく少数で、大半のユーザーはIBM iアプリケーションをクラウドへ移行させていません。とはいえ、クラウドを視野に入れていないユーザーも少数です。
i Mag ではクラウドについて、どう見ていますか。
フィッシャー 私どものお客様は、クラウド・コンピューティングの価値をしっかりと認識しておられます。それゆえ私どもは、お客様のビジネスを支援するIBMクラウドに対応しているのです。すでに当社のポートフォリオの大半は、クラウド上で稼働します。
また、私どものお客様は、さまざまなベンダーとパートナー関係を結んでいます。しかし実態は、それによってビジネスを進展させているのではなく、システム基盤の保守や改修を行い、要員をあてがっているだけの話です。それは、お客様が本当に望んでいることとは違います。
その意味で、お客様のITにかかる負荷を大きく削減するクラウドサービス・プロバイダー(CSP)やマネージドサービス・プロバイダー(MSP)は、今後、大きな注目を集めるだろうと見ています。
X-Analysisをリ・ブランド
低価格Fresche Viewを提供
i Mag 日本でも実績のあるX-Analysisについて最新情報をご紹介ください。
フィッシャー X-Analysis Suiteは、当社のフラグシップ製品の1つです。単一の製品ではなく、多様なビジネス課題に対応する、複数の異なるモジュールで構成されています。RPG・COBOL・CA 2E(旧Synon)で開発されたミッションクリティカルなアプリケーションを理解して拡張・進展させるユニークな機能を提供し、それを戦略的なビジネスに適応することによって、ビジネスの生産性向上とコスト削減を実現します。
モジュールの1つである「Fresche View」は、アプリケーション環境を解析して自動でドキュメントを生成するツールです。これは、新しいシステム部員の育成に役立ちます。
「Fresche Advisor」はITマネージャー向けの製品で、コードの品質を解析し、監査とリスク分析機能の提供により、開発と保守をきめ細かく支援します。また、そのナレッジを、組織全体で共有することも可能です。
i Mag 製品構成を変えたのですね。
フィッシャー そうです。リ・ブランドして一連のスイート製品を開発し、モジュールごとに特定のビジネス課題に対応させました。その結果、従来より幅広い価格レンジを提供できています。
X-Analysisにおける最も重要な変更は、低価格のFresche Viewの提供です。Fresche Viewの活用によって、IBM iアプリケーションについての理解と、変更による影響に関する知見を組織全体に行き渡らせることができます。RDiと完全に統合され、X-Analysis Suiteで最も一般的に要求される機能を、1つの基本パッケージで提供しています。
Fresche Advisorは、組織内のすべての人がアプリケーションの価値を活用できるよう支援します。Fresche Viewと同様、RDiと完全に統合され、コードの品質を解析し、ビジネスルールを抽出し、システム全体のドキュメントの共有を実現します。
Fresche Advisorはまた、アプリケーションを論理的に分割してアプリケーション環境の理解にかかる時間を短縮し、コードの品質と正確性、一貫性を保ちながら開発スピードを大幅に向上させます。
X-Analysis Suiteのそのほかの補完的なモジュールは、ビジネスとITの特定のニーズに焦点をあてたものです。コードベースのモダナイゼーションや最新のIBM iデータベーステクノロジーの活用、フィールドのサイズ変更や多言語サポートなどによる旧来システムの維持によって、それを実現します。この補完的な機能の一部は、2018年にリリース予定の別のテスト製品で利用可能になります。
日本市場の重要性と
Fresche Solutionsの戦略
i Mag 日本市場をどのように見ていますか。
フィッシャー 日本は世界で2番目に大きなIBM i市場で、当社にとって非常に重要なマーケットです。それゆえ、複数の製品を日本向けにローカライズし、2バイト文字セット(DBCS)に完全に対応させる投資を行ってきました。そしてGUI・Web開発支援ツールの「looksoftware」や「WebSmart」は、長年のパートナーであるソルパックのおかげで、日本市場でも高い評価を得ています。
もう1つの日本のパートナーであるジーアールソリューションズは、非常に活発な活動を展開しています。同社は、お客様のモダナイゼーションをサポートし、最新のWeb技術やモバイル、オープンソース、クラウドなどを利用できるよう支援しています。そうした取り組みはIBM iの将来にとって不可欠で、同社は非常に重要なポジションにいると感じています。
i Mag 最後に、日本戦略について。
フィッシャー 当社は米国のIBM i市場では大きな存在感がありますが、日本市場ではこれからです。日本における戦略はパートナーが中心で、パートナーが当社の将来の鍵を握っていると考えています。
私どもはワールドワイドで幅広いパートナーネットワークを築いています。かつてはハードウェア・リセラーが中心でしたが、現在は、SIerやMSP、CSP、付加価値リセラーなどへと急速に変わりつつあります。私どもはそのためにIBM iパートナー専門の部署を設けています。今後はそこを軸に、日本のパートナー戦略を展開していきます。日本のIT市場とIBM i市場は、当社の将来にとって、きわめて重要な位置を占めています。
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i Magazine 2017 Winter(11月)掲載