「Delphi/400 10.2 Tokyo」のリリースで
2018年はIBM iとクラウドの連携に注力
上甲將隆氏
株式会社ミガロ. 代表取締役社長
「Delphi/400」などミガロ.が提供するツールの活用事例や先進的な利用方法に関する論文をまとめた「ミガロ.テクニカルレポート」が、2008年の発行から今年で10周年を迎えた。同社の上甲將隆社長にこの10年の軌跡と、ユーザーコミュニティに向けた思いを聞く。
10年間の発行で
合計120本の論文を掲載
i Magazine(以下、i Mag) 2008年から発行を続けている「ミガロ.テクニカルレポート」が、今年で創刊10周年を迎えましたね。
上甲 そうです。お客様論文と当社のSE論文の双方を掲載して、毎年秋に発行してきました。おかげさまで、この10年間でお客様論文を61本、SE論文を59本の合計120本を掲載できました。業務でお忙しいにもかかわらず、執筆にご協力いただいた方々には心から感謝しています。いろいろとご苦労されながら、自社システムを構築してきた自らの経験を広く伝えたいと、強い思いで執筆された論文をほかのお客様が読まれ、とても役立ったから今度は自分も書いてみようと次の論文執筆につながる。情報共有の理想的な循環が形成できたように思います。
i Mag ミガロ.のSEの方々も、内容の濃い論文を執筆されています。
上甲 やはり自分の書いた論文をいろいろなお客様に読んでいただけることは、大きな励みになるようです。論文に関しては社内表彰制度を設けていることもあり、人材教育の一環として有効に機能しているように思います。
当社は2000年に、「Delphi/400」の販売を開始しました。2008年から年2回、東京と大阪で「ミガロ.テクニカルセミナー」の開催をスタートさせると同時に、「ミガロ.テクニカルレポート」の発行を開始しました。始めるにあたって、他社にない当社の強みは何かを追求し、それは「開発ツールに対してお客様と同じ目線をもてる」ことだという結論に行き着いたのです。
i Mag それは、具体的にはどういう意味ですか。
上甲 当社が一般のツールベンダーと異なるのは、「Delphi/400」という開発ツールの販売や技術サポートの提供と同時に、「Delphi/400」によりお客様の基幹システムを構築する受託開発に取り組んでいる点です。自ら「Delphi/400」を使って開発することで、お客様と開発の現場を共有することになります。そこから、「どう使えば効率的か」「実際の開発では、どのような機能が求められるか」といったように、お客様と同じ目線で使い方の発想やひらめき、気づきや工夫を得られるし、本当に必要な機能拡張の要望を的確に開発元へ伝えられます。そうした強みを大切にしていきたいという思いが、ミガロ.テクニカルレポートやミガロ.テクニカルセミナーの実現へとつながっていきました。
i Mag この10年で、製品のラインナップも充実してきましたね。
上甲 はい。現在は「Delphi/400」のほかにも、モバイルアプリケーションの開発ツールである「SP4i」や「Business4
Mobile」、JavaScriptやフリーフォームRPGに対応した開発機能や、多彩な運用管理機能を備える「Valence」(バレンス)を提供しています。
IT市場は急速に変化し、新しいソリューション領域が次々に生まれていますが、当社ではIBM iで基幹システムを運用されているIT部門の方々を対象に、あくまでIBM iに視点を据えながら、新しいテクノロジーを利用していくことをテーマにしています。たとえば、IBM iとモバイルを想定した新しいUI/UXの実現、Db2 for iとオープン系データベースの連携、あるいはIBM i上でNode.jsやJASONなどのオープンソース技術をどう活用していくかといった課題に挑戦しています。
「Delphi/400 10.2 Tokyo」登場
IBM iとクラウドの連携に対応
i Mag お客様から「ミガロ.テクニカルレポート」や、そのほかの情報提供に対する要望はありますか。
上甲 いろいろと寄せられています。たとえばネットで「Delphi/400」の使い方を検索していたら、「ミガロ.テクニカルレポート」に行き着いたといったお話をよくうかがうので、できるだけ探しやすく、見つけやすくする工夫が必要だと感じています。ミガロ.テクニカルレポートは当社のWebサイト上で読んでいただけますが、現在は論文で120本、年2回開催しているテクニカルセミナーのコンテンツが80本以上あるので、全号および全セミナーのコンテンツを見やすくインデックス化するなど、情報提供にはいろいろと工夫していくつもりです。
i Mag ユーザーコミュニティについては、どうお考えですか。
上甲 それも大きなテーマです。多くの方々から、ユーザー同士が交流し、情報共有できる仕組みが必要であるとのご意見が寄せられています。どういう形が最も有効であるかを現在検討していますが、ミガロ.製品のカテゴリごとに、あるいはモバイルやIoTなど関心の高い分野ごとに分科会を主催して、Facebookなどのソーシャルメディアなども取り入れながら、リアルおよびオンラインを組み合わせたユーザーコミュニティを創造していければと考えています。
i Mag 2017年10月に、「Delphi/400」の新バージョンが登場しましたね。
上甲 「Delphi/400 10.2 Tokyo」です。この新バージョンでは、IBM iの基幹システムとクラウドサービスを融合させる「Enterprise Connectors」というオプション製品をリリースしました。たとえばクラウドサービスであるSalesforceを例にとると、そこで使用している取引先マスタを、IBM i上の取引先マスタと同期させる。あるいはSalesforceで作成した見積データを、受注確定後にIBM iへ受注データとして自動送信するなど、いろいろな業務ニーズに応えながらIBM iとクラウドサービスの連携を実現します。
「Enterprise Connectors」では、Salesforce以外にもKintoneやOracle Sales Cloud、Sugar CRM、あるいはクラウド型の会計サービスや、FacebookやTwitterなどのソーシャルサービスといったように、多種多様なクラウドサービスに対する80種類のアダプタを用意しています。
i Mag IBM iとクラウドサービスの連携に対するニーズは増えていますか。
上甲 最近はお客様から、そのご相談が多く寄せられるので、「Delphi/400 10.2 Tokyo」は確実にお役に立てると考えています。2018年に発行する「ミガロ.テクニカルレポート」では、そうしたクラウド連携の事例や論文をぜひご紹介したいですね。
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i Magazine 2017 Winter(11月)掲載