IDC Japanは8月17日、Future of Workstyle(働き方の未来。以下、FoW)に関する国内企業ユーザー動向調査(企業規模別および産業分野別)の分析結果を発表した。
IDCでは、従業員数100人以上の企業に勤務する、働き方や働く場の改革関連施策の意思決定者980人に対してWebアンケート調査を2023年6月に実施した。調査項目には、柔軟な働き方の浸透状況、柔軟な働き方を実施する上での課題(IT関連、非IT関連)、自動化テクノロジーの導入状況と課題、従業員エンゲージメント向上施策の現状、Generative AI(生成系AI)の利用状況、今後のIT投資予定などが含まれ、そのデータを企業規模別および産業分野別で分析している。
同調査レポートによる、データのバックアップや経費/旅費精算などの15項目以上にわたって自動化テクノロジーの導入状況をたずねたところ、従業員数1000人以上の企業でも導入率が5割に達するものはないことが判明した。
また柔軟な働き方を採用している企業では、柔軟な働き方を推進する上で、従業員のパフォーマンス評価や労働生産性、コラボレーション、従業員エンゲージメントに関する課題意識が強い傾向がある。
さらに、従業員エンゲージメント促進のために多様な取り組みが実施されているが、その背景には、従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントの間に正の相関が認識されていることなどが確認された。
また、今年に入って急速に関心が高まっている生成AIについては、業務利用に関する社内規定が整備されていない企業が多い中で、情報収集、文章の生成/要約/修正、企画書の作成などの実務における利用が進んでいることも明らかになった。
さらにIDC Japanでは8月21日、 FoWに関する国内と世界の企業ユーザー動向調査の比較分析結果を発表している。
IDCでは、働き方や働く場に関する改革の現状、ハイブリッドワークや自動化テクノロジーの導入状況/課題/投資予定、オフィス環境への投資、そして人材とスキルや従業員エクスペリエンス関連の課題などに関するWebアンケート調査を日本、その他のアジア、北米、欧州において2023年4月~5月に実施した。
それに基づき、国内と世界全体を比較分析したところ、FoW関連改革の準備状況について国内企業は世界とほぼ伍しているとはいうものの、多くの課題が確認された。
たとえば、部署を問わず使用される汎用性の高いものから業務特化型まで多くの自動化ツールについては、国内は世界より導入率が低いことが判明した。
また、現場で利用されるさまざまなテクノロジーについては、ほとんどの場合、国内と世界は概ね類似した傾向を示しているが、コラボレーション/コミュニケーションツールの利用に関しては、国内が世界を大きく下回っていた。
セキュリティ施策のうちSASE(Secure Access Service Edge)やゼロトラストセキュリティなどについては、国内企業は世界の傾向とほぼ一致しているが、セキュリティトレーニングについては大きく遅れを取っている。
さらに、従業員エクスペリエンス(EX)については、国内企業の大多数が顧客エクスペリエンスとの間に正の相関を認識しており、EX向上施策を実施しているが、世界と比較すると取り組みを強化する余地が大いにあることが明らかになったという。
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