IDC Japanは4月15日、コンテナとKubernetesの導入状況に関する調査結果を発表した。調査は2021年2月の実施で、国内の企業・組織420社が回答している。
コンテナの「本番環境での利用」は16.9%となり、2020年調査より2.7ポイント上昇した。「導入構築/テスト/検証段階」は23.3%で、2020年調査から4.7ポイントの上昇。この2つを合わせると40.2%がコンテナの利用・導入を進行中となり、「国内はコンテナの本格的な普及期に入った」と指摘している。
ただし、課題も指摘している。導入時に課題となった点についての設問では、「障害/問題発生時の対応策」が32.5%、「セキュリティ対策」30.2%、「データ管理/統合」23.7%、「モニタリング/パフォーマンス管理」23.1%という結果となり、「コンテナ/Kubernetesはまだ運用実績が少ないため、障害やセキュリティに対してどのような対策を講じていくのかをしっかり検討していく必要がある」と述べている。
Kubernetesは、コミュニティ版Kubernetesを32.0%が利用しており、最も高かった。ただし2020年調査よりも低い結果で、「ベンダーディストリビューションやマネージドクラウドサービスの使用率が高くなっている傾向が見られる」という。
ベンダーディスリビューションでは「Red Hat OpenShift Container Platform」、クラウドマネージドサービスでは「Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)」が最も高い使用率だった。「Kubernetesの導入と運用のし易さや導入後のサポートをユーザー企業が重視している」と、IDC Japanは分析している。
一方、海外におけるコンテナの利用状況はどうだろうか。
CNCF(Cloud Native Computing Foundation)が2020年11月17日に発表した「CNCF SURVEY 2020」によると、コンテナを本番環境で利用しているのは回答者の92%、Kubernetesは91%だった(回答数140社以上、回答者の2/3は従業員数100人以上、30%は5000人以上、54%がエンドユーザー組織)。
CNCF調査で、コンテナの本番利用が23%だったのは2016年3月なので、日本(16.9%、2021年2月)は5年遅れている、と見ることもできる。
IDC Japanの入谷光浩氏(ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャー)は、冒頭の調査報告で、「今後、さらに導入プロジェクトの需要が拡大していくことが予想されるが、それに対してエンジニアの供給が追い付かなくなり、プロジェクトに影響が出てしまう企業が増えていくと考えられる。ベンダー/SIerとユーザー企業の双方において、早急にコンテナ/Kubernetesエンジニアの獲得と育成を行っていく必要がある」と指摘している。
・「コンテナの導入状況に関するユーザー調査結果」(IDC Japan)
・「CNCF SURVEY 2020」
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