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2022年の地域別IT投資は、大都市圏とその他地域で明暗 ~IDC Japanが「COVID-19の最新動向を踏まえた国内地域別 IT支出の予測」発表

国内IT市場 地域別支出額予測 2020年~2025年 単位:100万円 Source:IDC Japan, 1/2022
国内IT市場 地域別支出額予測 2020年~2025年 単位:100万円 Source:IDC Japan, 1/2022

 

IDC Japanは1月27日、2021年-2022年の国内地域別IT市場の予測を発表した。

それによると、2021年の国内IT市場は前年比4.2%増の19兆234億円。前回の2021年5月の予測(2.7%増)よりも1.5ポイント上方修正した。この改善は、「消費者のスマートフォンの買い替え需要」や製造業を中心とする主要産業のゆるやかな回復、およびテレワークや各種サービスのオンライン化による通信分野の堅調が主な理由という。

2022年の国内IT市場は、「スマートフォン需要の反動によって各地域で成長率は減速する」ものの、前年比2.3%増の19兆4548億円と予測。このプラス成長は、多くの企業で業績が改善し、とくに大企業でDX推進のためのIT支出が本格化することや、新型コロナの打撃を受けた小売・運輸・外食・観光・宿泊業でIT支出が緩やかに回復するためである。

一方、地域別では、各地域とも2021年はプラス成長となる。とくに「大都市圏」(東京都・関東地方)と東海地方、近畿地方の大企業・中堅企業では、業務の効率化や企業変革を目的にしたIT支出が拡大する。ただし、そのほかの地域はプラス成長となるものの、「スマートフォンの買い替え需要」が主たる要因なので、消費者を除くIT支出は低迷すると予測している。

2022年は、大都市圏を中心に多くの企業で業績が回復し、DXに向けた投資が本格化する、と見る。これによりIT支出は大都市圏でプラス成長となり、その傾向は2023年以降も続き、とくに2025年の大阪・関西万博の開催地域となる近畿地方ではIT支出の拡大が見込まれるという。

2022年の大都市圏以外は、新型コロナの影響が長期化し多くの企業で業績が低迷するため、IT支出はほぼ横ばいとなる。2023年以降は企業の業績改善に伴うIT支出の増加が見込まれるが、一方で人口減少により地域経済の停滞が長期化するために、多くの企業でIT支出の抑制傾向が続くと予測している。

この大都市圏以外の地域の低迷傾向のなかで、地方自治体の「デジタル・ガバメント」施策が大きな期待がかかると指摘している。福岡市周辺、札幌市、仙台市では、積極的な投資や再開発事業が契機となり、IT支出の活性化が見込まれている。

この点に関してIDC Japanの市村仁氏(ITスペンディング、リサーチマネージャー)は、「ITサプライヤーにとって、大都市圏以外の地域の企業に対して、事業構造の変革としてのDXを支援することがIT支出拡大の鍵になる。現在地方自治体における『デジタル・ガバメント』施策、各地域での再開発事業などを契機として、地場の企業に対してDXの推進支援を積極的に誘導する体制を早期に整備することが求められる」と述べている。

 

国内IT市場 産業分野別支出額予測 2020年~2025年 単位:億円 Source:IDC Japan, 1/2022
国内IT市場 産業分野別支出額予測 2020年~2025年 単位:億円 Source:IDC Japan, 1/2022

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