日本IBMは4月21日、「IBM ML品質診断サービス」の提供を開始した、と発表した。同サービスは、AIを実システムに適用する際に求められる品質について、独自のフレームワークに基づき課題点や改善点などを提言するもの。
近年、医療における画像解析や製造における故障診断、車の自動運転支援など、AIを適用するシーンが急速に広がっているが、機械学習(ML)システムを設計・開発する際に必要となる品質マネジメントは、機械学習システムが学習データという間接的な要素を利用するシステムであるため、明示的なプログラムで構成される一般的なソフトウェアと比較して、格段に難しいと言われる。
産業技術総合研究所(産総研)はそうした事情を踏まえて、2020年6月に、機械学習システムの設計・開発工程における品質マネジメントを体系的に網羅した『機械学習品質マネジメントガイドライン』を公表したが、IBM ML品質診断サービスは、同ガイドラインを基に、日本IBMが独自に診断フレームワークを開発し、診断・提言などを提供するサービスである。日本IBMは、同ガイドラインの作成メンバーとして参加している。
IBM ML品質診断サービスでは、最初に「AIを本格展開する際に求められる品質と管理項目を明確にし、診断フレームワークを使って、開発段階、あるいは運用段階にあるAIの品質を網羅的に可視化」し、次に「機械学習システムの予測性能、データの量や質、プログラムなどのシステム面に加え、組織、プロセス、ツールなどの多様な観点から診断結果を提示し、課題点や改善点、実施すべき品質管理項目と今後の方向性を提言」するとしている。
◎参考
産業技術総合研究所『機械学習品質マネジメントガイドライン』
[i Magazine・IS magazine]