IBMは3月6日、13カ国1万4000人以上の学生、転職希望者、求職者を対象に、科学・技術・工学・数学(STEM)分野のスキルと教育、仕事に関する調査結果を公開した。
今回の調査により、世界中の学生、求職者、転職希望者は、さまざまな業界で科学、技術、工学、数学(STEM)に関連する職務に就くことを望んでいるが、キャリアの選択肢についてよく分からないという回答が多かったこと、また、キャリアの選択肢がないのではないかという懸念が挙げられたことが明らかになった。これらの結果は、企業がテクノロジーの急速な進歩に対応し、現代のデジタル経済において優位であり続けるために、リスキリングに投資している実情とは対照的だと指摘している。
このような誤解に対処し、STEM 教育へアクセスする機会の少ない人々にSTEM教育を提供するために、世界で45の組織が新たにIBM Skills Buildの教育パートナーとなったことを発表した。
日本では、2022年11月にフリーランスのリスキリングを支援するため、非営利支援団体一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 (以下、フリーランス協会)とパートナーシップを締結している。
フリーランス協会は2020年7月から、18歳以上のすべての会員への会員特典として、IBM SkillsBuildを無料提供している。これまでは外部団体へ別途登録が必要だったが、今回のパートナーシップにより、フリーランス協会が「IBM SkillsBuild-FAJ事務局」となり、会員情報との自動連携が可能になった。
IBM SkillsBuildはテクノロジー分野で十分な経験を積んでいない人々に焦点を当てた無料の教育プログラムで、社会人学習者、高校生、大学生、教職員などが貴重な新しいスキルを身につけ、就労機会を得られるよう支援するもの。オンライン学習のプラットフォームとして、サイバー・セキュリティ、データ分析、クラウド・コンピューティングなど多くのテクノロジー分野、およびデザイン思考などの職場スキルに関する1000以上のコースを19の言語で提供する。参加者は受講修了後、IBMのデジタルバッジを取得できる。
最近では高松市に新設される「IBM地域DXセンター」で、DX推進を担うスペシャリスト育成の一環として、IBM SkillsBuildのオンライン学習と課題解決型学習を組み合わせた研修を無償で提供することで、受講者のスキル取得をサポートすると発表されている。
IBMはこのようなコラボレーションを通じて、2030年までに全世界で3000万人のスキル習得を支援するとコミットしている。
◎「IBM スキルと教育に関する調査」日本の調査結果
~STEM分野の仕事、デジタルバッジの認知度が日本は世界に比べて低い~
・STEM 分野の仕事について、求職者と転職希望者が「よく知っている」もしくは「ある程度知っている」と回答した割合は、国別に見ると、日本はフランスに次いで2番目に低い。また、学生がSTEM分野の仕事について「知らない」と回答した割合は日本が50%で最も高い。
・学生と求職者の約半数、転職希望者の5人に3人が、今後10年間でSTEM分野の仕事のキャリア機会が増加すると考えている。
・多くの回答者は、適切なスキルがないため、STEM 分野の仕事に就く資格がないと感じている。また、日本では他の国よりもSTEM分野の仕事が少ないこと、自分の住んでいる地域では他の場所よりもSTEM分野の仕事が少ないことに同意する割合も高い。
・IBMのデジタルバッジ・プログラムについて、求職者の10人に3人、学生と転職希望者の5人に1人は「よく知っている」もしくは「ある程度知っている」と回答したが、学生と転職希望者の半分以上、求職者の4割は「知らない」と回答した。
・IBMのデジタルバッジを取得した回答者の大多数は、キャリア目標の達成に役立ったと考えている。
今回の調査は2022年11月2日~28日に、IBMがモーニング・コンサルトに委託して、13カ国1万4000人以上の学生、転職希望者、求職者に科学・技術・工学・数学(STEM)分野のスキルと教育、仕事に関するインタビューした。
[I Magazine・IS magazine]