IBMは2月14日、IBM i Merlinのサブスクリプション提供を発表した。2月17日から利用可能となる。
IBM i Merlin(以下、Merlin)は2022年5月に、IBM i 7.5と同時発表されたIBM i用の新しい開発環境。RPG Ⅲ・Ⅳの固定フォームRPGからフリーフォームRPGへの自動変換や、GitやJenkinsなどの標準搭載によりDevOps、CI/CDなどが可能になる。Red Hat OpenShift上で稼働する。これによりオンプレミスおよびクラウドのPower環境で利用でき、1つのPower上でIBM iとMerlinを運用可能になる。
当初IBM i 7.4と7.5のみの対応だったが、2022年7月にIBM i 7.3へサポート対象を広げ、12月のバージョン1.4.0(IBM i Merlin 1.4.0)でデバッガ機能を標準装備した。
ただし、導入・利用料金が他のIBM i開発環境と比べて相対的に高額なことがベンダーらから指摘され、「SIerか大規模ユーザーしか手が届かない」という声があがっていた。
今回のサブスクリプション・サービスはこれに応えるもので、イニシャルのコストを抑えて利用をスタートできる。
製品発表レターでは、Merlinのすべての機能を、1年、2年、3年、4年、5年のサブスクリプション期間を設けて提供するとしている。料金の詳細は明記されていない。i Magazine編集部で入手次第、続報します。
IBM i MerlinとCode for IBM i
米IBMでは、IBM iの新しい開発環境として有償のIBM i Merlinを推進している。しかしその一方で、オープンソース(無償)の開発環境「Code for IBM i」の開発も、IBM iの技術スタッフが中心メンバーとなり進めている(i Magazine 2023 Winterで特集)。
Code for IBM iの最新バージョンは、2月13日リリースの1.7.3。2022年2月22日のバージョン1.0.0から最新バージョンまで、約1年間に67回、バージョンが改訂された。約5日に1回というペースでバージョンが改訂されている。
米IBMのアリソン・バタリル氏(IBM i製品マネージャー)は、IBM i Merlinの今後の拡張について多くの場で言及している。その中には、新機能の提供による低価格化への取り組みもある。
IBM i Merlinはリリースからまもなく1年を迎える。MerlinとCode for IBM iのすみ分け・使い分けについては明言されていないが、2つの開発環境の進展は今年の大きな注目点となりそうである。
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