Text=澤田 英寿(日本IBM)
IBM Navigator for i 機能拡張
IBM Navigator for i(以下、iNavi)は、IBM iの標準的なGUI (Webブラウザ)の運用管理ツールとして利用されている。IBM i 7.5の場合は、HTTPのグループPTF(SF99952)の最新PTFの適用により、さまざまな拡張機能が利用可能となった。ここでは主な機能強化点のみを取り上げる。
GUIの外観の最新化
iNaviのGUI全体がAngular 17(https://angular.jp/)に更新された。シンプルで現代的なGUI外観のためのスタイル変更になった。実際に使用して、ぜひ体感してほしい。またGUIノード認証のためのサインオン・プロンプトの改善などもサポートしている。
Web管理機能の強化
ネットワークのメニューに、Web Administrationが追加された。ここからHTTPサーバーの構成ファイルの編集や、IAS/IWSサーバーのログの表示を実施できる。従来はWeb管理画面を起動しないと実行できなかったので、iNaviでの統合化が進化したと言える(図表10)。
拡張ジョブスケジューラー(AJS)の機能強化
拡張ジョブスケジューラー(5770-JS1)は、2022年6月からOS標準として無償提供されるようになった。ただし、5770-JS1のライセンスの最新バージョンはV7R2になる。IBM i 7.5でも、このV7R2が使用できる。
iNaviにプラグインされた拡張ジョブスケジューラーの機能は、HTTPサーバーのグループPTFで随時強化され、使いやすくなっている。これまでの機能強化で、5250で実行できる拡張ジョブスケジューラーの機能は、大半がiNavi上で実行でき、Webでのスケジュール運用が容易になった。最新のPTFでは、iASPもサポートされた(図表11)。
セキュリティの監査とトレンドを可視化する機能
セキュリティ監査は、システムのセキュリティが適切に行われていることを確認する作業で、定期的な実行が推奨されている。
具体的なチェック項目には、システム値、ユーザープロフィールとパスワード、オブジェクトの権限設定などがある。その設定が正しく実行されているか、セキュリティを破ろうとした形跡がないかを確認するために、監査ジャーナルを使用できる。
今回のiNaviの機能強化により、監査ジャーナルのデータを簡単にグラフ化し、深堀できるようになった。ジャーナル項目ごとのデータマートを作成することにより、大量の監査データを高速に調査できる。実際の使い方は図表12、図表13、図表14を参照してほしい。
スケジュール・ジョブの即時実行機能
マイナーな機能追加ではあるが、iNaviからスケジュール化されたジョブを即時実行する機能が追加されている。使い方は図表15を参照してほしい。
その他の機能強化について
その他の機能拡張を見てみよう。
たとえばIBM i Access Client Solution(ACS)では最新バージョンで、Visual ExplainやSQLデータ操作(DML)の機能強化が行われている。
またオープンソース環境の開発環境では、Code for IBM iで、Visual Explainの組み込みのサポート、SQLのデバッグを容易にするSELFコードの検索機能が追加された。
BRMSを利用しているユーザー向けには、テープと仮想テープのデータ圧縮(昨年末にPTFで提供)、PowerHAを利用しているユーザーには、新しいWebインターフェースやSQLサービスが提供されている。
そのほか多くの機能が提供されている。ぜひ最新のTRを適用し、新しい開発・運用環境を体感してほしい。
著者
澤田 英寿氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 Power テクニカルセールス
アドバイザリーIT スペシャリスト
1988年、すなわちIBM i(AS/400)が誕生した年に入社して以来、一貫してIBM iのテクニカル支援に携わる。昔は四国(松山)や大阪事業所で、中堅企業ユーザーの担当や、他社汎用機からの移行プロジェクトなどを担当。現在は、IBM Powerのパートナーに向けた技術支援などを担当。
◎IBM i 7.5 TR4とIBM i 7.4 TR10、最新機能解説
[i Magazine 2024 Autumn 掲載]