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IBMソフトウェアをAWS上でSaaS提供へ、数クリックで利用開始 ~ハイブリッドクラウド戦略の拡大だが、まだ一部の製品に限られる

IBMは5月11日(米国時間)、Amazon Web Services(AWS)と戦略的協業契約(SCA)を締結し、IBMの各種ソフトウェアをAWS上でSaaSとして提供する計画を発表した(日本IBMは5月19日発表)。

これによりユーザーは、AWSのAWS Marketplace(IBM Cloudの「カタログ」に相当)でIBMのSaaSソフトウェアを選択し、数回のクリックで利用を開始できる。従来、IBMソフトウェアをAWSで利用するにはユーザーが手動で導入する必要があったが、これが改善され、ユーザーの利便性が大きく向上する。また、所有するIBMライセンスをAWSへ持ち込む際のBring Your Own License (BYOL)機能を補完するとしている。

今回提供されるIBMソフトウェアは、Red Hat OpenShift上で稼働する製品。AWSでは「Red Hat OpenShift Service on AWS」で動作するコンテナアプリケーションとして提供される。

今回提供される主なIBM iソフトウェアは次のとおり。接続、運用自動化、セキュリティが中心で、300種以上あるIBMのクラウドサービスのごく一部の限られた製品である。そのほかの機能については、「今年後半に追加予定」という。

・IBM API Connect
・IBM Db2
・IBM Observability by Instana APM
・IBM Maximo Application Suite
・IBM Security ReaQta
・IBM Security Trusteer
・IBM Security Verify
・IBM Watson Orchestrate

また両社は、ユーザーがAWS上でIBMのソフトウェアを利用しやすくするために「幅広い分野で共同投資を行う」としている。それには、販売、マーケティングなどのほかに、石油・ガス、旅行・運輸などの業種ソリューション開発が含まれるという。

IBMはハイブリッドクラウドを事業戦略の根幹にすえ、自社ソフトウェア/サービスのOpenShift対応を進めて、他社環境(クラウド、オンプレミス)でも稼働可能にすることを推進している。今回のAWSとの協業はその戦略の拡大で、ハイブリッドクラウドの普及・展開をさらに容易にする狙いがある。

ただし、IBMも自社クラウドのIBM Cloudをもっており、自社ソフトウェアの他社クラウドへの全面提供は、自社クラウドの否定にもなりかねない。今回発表の「IBM Software on AWS」の製品群が接続・運用自動化・セキュリティなどのサービスに限られているのも、そのあたりに事情がありそうだ。

なお、AWSはNECなど多数のソフトウェア企業と戦略的協業契約(SCA)を締結し、AWS上でのサービス提供を推進している。

 

[i Magazine・IS magazine]

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