日本IBMのIBM i製品は、1次店のVAD(付加価値ディストリビュータ)から2次店の販売パートナーへ卸され、ユーザーの元へ届く。そしてこの商流の8割以上を、VADとして活動するイグアスが占めると言われる。そのイグアスで、ソリューション事業の新設など変革が進んでいる。ソリューション事業を統括する青木寿人氏とソリューション本部長の有川伸行氏に話をうかがった。
青木 寿人 氏
株式会社イグアス
取締役 上級執行役員
テクノロジー・ソリューション事業部
事業部長
有川 伸行 氏
株式会社イグアス
テクノロジー・ソリューション事業部
ソリューション本部
本部長
案件創出のリード・ジェネレーターになる
i Magazine(以下、i Mag) 9月に月刊のPDF冊子『イグアスお薦めソリューション』と動画版を創刊するなど、市場向けプロモーションを活発化させています。今何に取り組んでいるのでしょうか。
青木 ここ数年のお客様の動きを見ていると、事業環境が複雑になるにともなって、これまで以上にさまざまな課題に直面するようになっています。システム環境はクラウドへシフトしていくと思いますが、お客様にとってはどのプラットフォームを選択しようとも課題の解決こそ重要で、それゆえにソリューションに対するニーズが高まっています。
私どもイグアスはそのことに真正面から取り組む必要があると、今痛切に思っています。そこでソリューション分野を立ち上げ、全力で注力し始めているのです。ソリューションの世界で長い経験をもつ有川さんをソリューション本部長に招いたのも、その姿勢の表れです。
i Mag ユーザー企業への直接の働きかけは、これまでにない動きですね。
青木 パートナー様にとっては案件の創出が何よりも重要です。もちろんパートナー様は日々さまざまなお客様と向き合い、ご提案を続けています。私どもがやろうとしているのはそれとコンペすることではなく、私どもの特質を活かしてお客様に働きかけ、案件を創出してパートナー様にピッチする取り組みです。その過程では、パートナー様と一緒に動くこともあるでしょうし、パートナー様へのご支援もあるかもしれません。私どもがやりたいのは、さまざまなソリューションをお客様にご提示することと、パートナー様のために案件創出のリードジェネレータになることです。
i Mag その2つを実現するために取り組んでいることは何ですか。
青木 1つは品揃え、もう1つはスキルアップです。お客様の課題を解決するには豊富な品揃えがまず必要です。そして、ご提示するソリューションをお客様とパートナー様に納得いただき、さらに次のステップへ進んでいただくには、今以上のスキルと継続的なスキルアップが必要だと考えています。
i Mag 品揃えについては、すでにたくさんの製品を扱っているようにも思えます。また製品を提供しているベンダーからは“もっと売ってほしい”という声も聞こえてきます。品数を増やすのは、まだ必要なのでしょうか。
青木 実は当社がIBM製品以外の品揃えを強化し始めたのは、つい数年前のことなのです。以前は20製品程度しか扱っていなかったので、品揃えがとにかく必要と考え、急ピッチで数を増やしました。今の課題はそれらの再整理と、お客様の課題解決に有効な新しい製品の発掘です。品揃えにはこの2つの意味を含めています。
ソリューション・ソムリエになろう!
i Mag スキルアップについてはいかがですか。どのように取り組んでいるのでしょうか。
有川 いろいろな課題・テーマがあるのですが、私は一歩下がって「なぜ今イグアスなのか」から考えてみたいと思っています。パートナー様からも、「なぜイグアスから買わなければならないのか」と言われることもあります。
i Mag VADとしてのイグアスの存在価値ですね。
有川 そうです。VADという言葉の中にある「付加価値」です。それが何かを追求してみたいのです。
それで1つ浮かんでくるのが、パートナー様がお客様との交渉をうまく進められないでいるという、そうしたことが少なくないという事実です。そのようなケースでは、当社が入ることによって交渉がスムーズに運ぶこともあるのではないかと思えます。
それとプロモーション力ですね。パートナー様単独ではカバーしきれないところを、当社なら幅広くプロモーションできることがあります。またパートナー様のソリューションと別のパートナー様のソリューションを組み合わせることも、当社が仲立ちすればよりスムーズに進められるかもしれません。そうした広角の選択眼とコーディネーション力こそが付加価値になるはずです。当社の最終目標は案件を創出できるリードジェネレータになることですが、パートナー様に提供できる付加価値はもっとたくさんあるだろうと思っています。
i Mag それをお聞きすると、スキルアップのテーマが見えてくるようですね。
有川 スタッフには「ソリューション・ソムリエになろう」と言っています。お客様の課題はさまざまで、扱っている製品の強みもそれぞれで、パートナー様もISV、SIer、製品販売パートナーといろいろです。そうした多種多様の選択肢がある中で、“お客様の課題にはこの製品が適合します”と、自信をもってお薦めできるスキルが必要です。
それには、とにかくたくさんの製品を見ることと、触れてみることが必要です。ソリューションの目利きになろうということですね。
i Mag ただ、ユーザーの課題を見極めること自体、たいへんなスキルを必要とします。それについては、どう取り組みますか。
有川 最近、お客様をお訪ねして話をうかがうように努めています。お客様の動きを肌で感じながら考えたいからですが、そこで気づいたのは、お客様は我々の想像以上に進んでいるということでした。DXにしても社内だけでなく仕入先や外部をも巻き込んで推進しているところがあります。自動化も、そんな形があったのかと驚くような取り組みがあります。私どもはソリューションについて少しは知っていますが、お客様の業務や実情については遠いところがあります。そのことを肝に銘じ、お客様目線に立ってお客様やパートナー様と一緒に考えていけるスキルをつけないといけないと痛感しています。そこはこれからです。
i Mag 9月にPDF冊子版と動画版の『イグアスお薦めソリューション』を創刊しました。今後はどのような計画ですか。
有川 パートナー様向けにはソリューションの勉強会をやりつつ、お客様向けのセミナーをたくさん実施する計画です。1つの製品を深く掘り下げたり同種製品を比較するものなど、お客様に“ささる”セミナーを企画しています。何と言っても、これらの取り組みで結果を出さないと当社の価値が薄れてしまいますから、本気モードです。
青木 スピード感をもって取り組んでいます。お客様、パートナー様にぜひ期待していただきたいですね。
月刊『イグアスお薦めソリューション』のダウンロード先は下記URL。
https://www.iguazu-sol.jp/recommend/download
『イグアスお薦めソリューション』動画版の視聴は下記URL。
https://www.iguazu-sol.jp/recommend
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