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北海道オフィス・システム「HOS Cloud-i」 ~戦略的な料金設定を武器として3ステップでIBM iクラウド戦略を推進 |IBM iクラウドベンダーの戦略・サービス

基本プランは、1328CPW、
2GBメモリ、ディスク150GBで7万5000円

北海道オフィス・システムは、建設機械のレンタル事業などを行う片桐機械と日本オフィス・システムとの共同出資により1990年に設立された会社である(日本オフィス・システム上場時に資本関係は解消)。設立以来、片桐企業グループ11社の情報システム部門としての顔と、IBM iやPC・サーバーの販売・保守、SIを行うITベンダーとしての2つの顔をもち、事業を展開してきた。

同社は2014年にIBM iクラウドサービス「HOS Cloud-i」をスタートさせた。

その特徴の1つは「戦略的な価格設定」で、「他社の料金体系も参考にしつつ、低料金でご利用いただける価格設定にしました」と、代表取締役社社長の花田滋雄氏は語る。最も利用の多い、CPU 1328CPW、メモリ 2GB、ディスク 150GBの基本プランは、月額7万5000円(初期費用30万円)。リソースの増強は、CPUは265.7CPW/0.01コア単位(1万8000円)、メモリは2GB単位(1万5000円)、ディスクは150GB単位(1万8000円)で行える(図表1)。

図表1 サービス概要

もう1つの特徴は、データセンターの隣室で開発・運用業務を行っているため、「いつでもセンターにアクセスし保守・改修を行える」(花田氏)点である。同社ではサービスメニューに、クラウドサービスとしては稀な「テープバックアップ」を加えているが(オプション)、これも「隣室にSI部門があるゆえのサービス」(花田氏)という。

また、運営を担当する片桐企業グループのシステムもHOS Cloud-iで運用中である。花田氏は、「クラウドを使う中でユーザーとして経験した苦労やそれで得たノウハウを、クラウドベンダーとしてお客様に還元できるのも当社の特徴であり、強みです」と語る。

このほか、2018年の北海道胆振東部地震の際にもシステム停止を起こさなかった設備・施設がある。北海道全域でブラックアウトが起きたときも、「クラウドセンターの非常用発電装置が自動起動し、無停止で運用を継続した」という。

クラウド移行→保守・運用→
アプリケーション保守の3ステップ推進

HOS Cloud-iのユーザー数は現在30社。そのうちの半数は「2020年以降の契約」である。内訳は、「本番区画」15社、「バックアップ区画」15社、「開発・テスト区画」5社で、「本番区画利用が伸びています」という。

「ご契約は、2017〜18年のPower7のEOS時に1つの波がきて増えましたが、コロナ期間中前半は低迷し、2022年以降に再び増加の大きな波がきています。クラウドの利用数は、オンプレミスで運用中の会社数を超えました」(花田氏)。

同社は、北海道のユーザーには自社で営業活動を行い、その他の地域はパートナーに委託する販売戦略を取っている。バックアップは北海道以外からの利用が半数を占めるが、パートナー経由の販売である(図表2)。

図表2 各地からのバックアップ

同社は自社で営業を行うときは、「クラウドファースト」である。「オンプレミスの引き合いや見積依頼がきても、必ずHOS Cloud-iをご提案します」と、花田氏は話す。

「IBM Powerを含めさまざまな費用が高額化しているなかで、お客様がシステムを運用していくのは大変で、先行きも不透明です。その点クラウドならば安定したコストでIBM iを使い続けられ、ベンダーの専門的な技術・経験・ノウハウも利用できます。またクラウドは当社にとってもストックビジネスとなり、安定した事業を築くベースとなります。従来のような5〜7年に1度のシステム更改時のボリュームのあるビジネスを追うのではなく、クラウドファーストにビジネスの主軸を置いています」(花田氏)

同社は現在、3つのステップでHOS Cloud-iビジネスを推進している。

1つ目はオンプレミスからHOS Cloud-iへのリフトである。「お客様にクラウドへ移っていただき、HOS Cloud-i上で長く使っていただくことをお勧めしています」。2つ目は、ユーザーがクラウドへの持ち込みで利用中のミドルウェアやソフトウェアがサポート終了になった時点での「HOS Cloud-iの保守・運用サービスへの切り替え」である。そして3つ目が、アプリケーション保守である。HOS Cloud-iではすでに10%強のユーザーがアプリケーション保守サービスを利用し、システムの改修や拡張へ進んでいるという。

「IBM iを長く使い続けておられるお客様がさまざまなクラウドベンダーから見積りを取ると、その費用の高さに驚かれることが多いようです。HOS Cloud-iはクラウドサービスとしての安全・安定運用の基盤は保ちつつも、多くのIBM iユーザーにとって過剰と思われる設備・サービスは省略し、お客様のサイズ・費用感に合ったクラウドサービスを目指しています。IBM iの価値を感じているお客様にこそ、さらにIBM iの価値を幅広く、奥深く、長く享受するための最良の方策と考えています」と、花田氏は述べる。

 

[i Magazine 2024 Spring掲載]

 

 

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