日立製作所は1月24日、統合システム運用管理「JP1」および「JP1 Cloud Service」の強化を発表した。運用管理業務においてクラウド利用を促進する動きとして注目される。
JP1は、1994年から提供されている国内トップクラスの導入実績をもつ製品群。統合運用管理「JP1/IM2(Integrated Management2)」やジョブ管理「JP1/AJS3(Automatic Job Management System3)」など17種類の運用管理製品から成る。一方のJP1 Cloud Serviceは2021年3月に販売開始されたクラウドサービスで、JP1/IM2およびJP1/AJS3の機能が利用できる「統合管理プラットフォーム」「ジョブ管理プラットフォーム」と、JP1/AJS3の運用データを基にした「ジョブ運用データ分析サービス」が提供されている。
JP1の今回の機能拡張は、ジョブ管理において、Azure上のサービスとの連携機能を提供するというもの。これまではAWSとの連携が提供されてきた。これにより、「マルチクラウド・ハイブリッドクラウド環境をまたがる一連の業務の自動実行を容易にし、クラウド化が進むエンタープライズ・システムの安定稼働を支援する」としている。
もう1つのJP1 Cloud Serviceの強化は、運用作業をコード化し、実行・管理・再利用を可能にするSaaS型運用統合プラットフォーム「JP1 Cloud Service/Operations Integration」(以下、Ops I)の提供。
Ops Iの利用により次の3つの効果が得られる、と日立はまとめている。
サイロ化した各種運用の標準化と要員の共有化により、運用品質向上やIT運用全体の最適化
運用作業の審査承認フローや作業内容などのコード化により各種運用を標準化。さらに運用全体のシナリオ化により、サイロ化したシステム運用を統合できる。運用シナリオには、日立がJP1で培ったベストプラクティスを標準搭載し、ユーザーによるカスタマイズや新規作成も可能。
運用の監査対応など、ガバナンスに関する負担を軽減
Ops Iは、各種標準規格との対応や企業の運用ポリシーを管理し、必要な作業が実施されているかを可視化。運用作業のコード化により監査証跡の自動収集も可能で、これらにより運用ガバナンスに関するIT部門の負担を軽減する。
ハイブリッドクラウド・マルチクラウド環境や各種ツールとの柔軟な連携
Ops Iは、AnsibleやTerraformなどのInfrastructure as CodeツールやREST APIに対応しているため、各種運用管理サービスとの連携が容易。導入済みのITSMツールとの連携やパフォーマンス監視ツールなどと機動的な運用が行える。
Ops Iは、「スターター版」(月額24万円~)、「プロフェッショナル版」(月額41万5000円~)、「ディザスタリカバリー版」(個別見積)の3種類がある。プロフェッショナル版の販売開始は3月31日から。そのほかは6月30日からの予定。
日立はOps Iの今後の予定として、イベント監視や稼働データの分析などにAIを適用する「デジタルオペレータ」を2022年度中に搭載予定。JP1ではエンタープライズシステムのクラウド化に対応した強化をさらに進めるとしている。
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