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Gartner、オンプレミスに関する最新の展望を発表 ~2026年末まで、日本企業の半数は、従来型の仮想化基盤の近代化に失敗する

ガートナージャパンは2月26日、オンプレミスに関する最新の展望を発表した。Gartnerは、2026年末まで、日本企業の半数は従来型の仮想化基盤の近代化に失敗するとみている。

ベンダーによるメインフレームのサポート終了や主要な仮想基盤におけるライセンス変更、それに伴うソリューション提案内容の多様化により、既存環境の見直しが進められ、レガシー・マイグレーションの議論が活発になっている。

多くのユーザー企業ではこれまで、サーバー仮想化の選択肢を検討することがほとんどなかった。そのため、そうした企業では、近代化のための代替ソリューションの選択肢として挙げられるコンテナ/Kubernetesやハイパーコンバージド・インフラストラクチャ (HCI)、クラウドサービス上でのVM (仮想マシン) インスタンスを含むコンピューティングの抽象化技術とそのトレンドについての理解に遅れが見られ、合理的な判断に時間がかかっている。

Gartnerは、オンプレミスの仮想化基盤の移行先としてクラウドサービスを選択したとしても、単なる「リフト」だけとなり、「最適化」「シフト」には至らず、コストも減らないどころか増えるとみている。

また、既存の仮想化基盤だけにフォーカスし、代替テクノロジーを採用したとしても、そのオペレーションの変更が追い付かず、スキルやケイパビリティが不足しているため重大インシデントに見舞われる恐れがあると注意喚起している。

Gartnerは、2028年末まで、日本のIT部門の70%は、オンプレミス・インフラの老朽化対応について予算を超過し、経営層から厳しく追及されるという仮説も立てている。

「いつもどおり、従来どおりであるから安心・安全」「これまでは特に問題が起きていない」「ITシステムの標準化によって複雑さを避ける」「現在、手に負える範囲にとどめる」といった前例にならった説明や「(旧来の) 常識的な」対応では、近代化を進めるためのITインフラ投資を正当化することはできなくなっている。

従来型のITインフラはこれまでは成熟した「枯れたテクノロジー」を用いた基盤であったため、インフラストラクチャとオペレーション (I&O) 部門にとってはコスト低減が第一のミッションであった。

一方、AIや生成AIの実装はインフラ・レイヤにまで及んでいます。AI/生成AIへの投資マインドが高まっており、経営層は、レガシー・インフラの維持や保守に数十億円の固定費をかけるよりも、新たなビジネスを支える新興テクノロジへの投資を増やしたいと考えている。

ベンダーの競争の場と戦略上のフォーカス変化にも目を向ける必要がある。レガシー・マイグレーションのソリューションは高額、かつ改修期間の長期化が見込まれる。

一方、Gartnerの2025年CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイからは、レガシー・インフラや旧来のスタイルのオンプレミス環境で長きにわたって使い続けてきたデータセンター・テクノロジに対しては、日本企業のCIOの50%が2025年に投資を減らす意向を示していることが明らかになっている。

オンプレミスにまつわる従来の常識や既成概念から脱却し、オンプレミスかクラウドかに関係なくAI/生成AIを活用したプラットフォーム戦略へと転換することがI&Oリーダーには求められている。レガシー・インフラに関する負の遺産を戦略的にどう解消し次世代のインフラへと進化させていくかは、喫緊の課題である。「戦力外通告」を待たず、ITインフラの近代化にどう取り組んでいくかが今後の企業の存続に関わるとGartnerはみている。

[i Magazine・IS magazine]

 

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