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ガートナージャパン、オンプレミスに関する最新の展望を発表 ~2027年までに大企業の70%が現状維持とコスト削減を主目的とするオンプレミス・インフラを廃止

ガートナージャパンは3月4日、オンプレミスの将来に関する最新の展望を発表した。企業は現在のオンプレミス・テクノロジーが衰退していくことを前提に、プラットフォームとしての「インフラのグランド・デザイン」を再考する必要がある。

日本におけるユーザー企業のインフラストラクチャとオペレーション (I&O) に携わる部門の多くでは、いまだにクラウドかオンプレミスかを検討し、OSのサポート切れやハードウェアの老朽化のタイミングだけに反応し、個別のテクノロジーを場当たり的に導入し、ハードウェア・コストをわずかに削減しているといった状況や、I&O部門外でデジタル・トランスフォーメーションが推進されている状況が見られる。

ディレクター アナリストの青山 浩子氏は次のように述べる。

「近年、新たなテクノロジーや手法、アプローチに加え、クラウド・サービスが選択肢としてある中で、新興テクノロジ・トレンドによる破壊と革新に伴う市場再編も多くの領域で発生しています。I&Oリーダーは、旧来テクノロジーを継続維持するだけのOldオンプレミスから脱し、ビジネス・イノベーションに資するプラットフォーム戦略へと進むことが求められています」

従来型のオンプレミス (Oldオンプレミス) のみをサポートするベンダーは市場から消滅しつつあり、国産ベンダーは、サーバーはもとより、メインフレームから撤退し始めている。一方で、外資系ベンダーはNewオンプレミスを推進している、もしくはVMwareのように他企業に買収され、リスタートのフェーズにあるなど、かつてない転換の時を迎えている。

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀 忠明氏は次のように述べる。

「こうした状況は、業務システムはもとより、社会と経営の安定を支える重要な基幹系システムの将来が不透明になりつつあることを表しており、ほとんどの日本企業にとって、事態は相当に深刻であると言えます」

従来の延長としてのオンプレミスを利用しようとしても、それを支えるテクノロジーがなくなるため、ユーザー企業は、代替テクノロジーを検討せざるを得なくなる。代替テクノロジーとして最も有力なのはハイパースケーラーであるが、利用するには新たなスキルだけでなく、時代に即したマインドセット、スタイルといった新しいケイパビリティが必須となる。時代変化への気づきが拡大する中で、今後、多くの企業で、それらを獲得しようという動きが加速していくだろう。

亦賀氏は次のように述べる。

「『今付き合いのあるベンダーやシステム・インテグレーターが、現在のテクノロジーをこれまでと同様にサポートし続けてくれる』と考えるのは大きな誤りです。テクノロジーの衰退に伴い、ベンダーやシステム・インテグレーターにおいてもそれを扱うエンジニアが減少し、『誰も支える人がいなくなる』というリアリティを深刻に捉える必要があります。

今後、ハイパースケーラーの理解は不可欠となるため、スキルの早期獲得に向けた施策の推進や、次世代対応に向けた既存要員の強化が必須となります。世の中が根本から変化していることを理解し、2030年以降のNew Worldに向けて、スーパーパワー・テクノロジー (想像を超えたテクノロジー) と新たなテクノロジー人材による力強い次世代のビジネス戦略の立案と展開をスタートする必要があります。そのためには、現在のOldオンプレミスのマイグレーションだけに気を取られるのではなく、次世代のビジネス・アーキテクチャまでも視野に入れた産業革命への対応を企業戦略として推進する必要があります」

オンプレミスの老朽化対応やインフラ更改の際には、いまだにコスト削減が重視されている。一部に新規テクノロジーを取り込むことはあるものの、現状維持をベースとした機能改善だけでは、ビジネス成果へのインパクトは小さいままとなる。

一方、ガートナージャパンの調査からは、レガシー・インフラや旧来のスタイルのオンプレミス環境で長きにわたって使い続けてきたテクノロジーに対しては、日本企業のCIOの40%以上が投資を減らす意向を示していることが明らかになっている。

青山氏は次のように述べる。

「新たな時代の潮流に乗り遅れたまま何も対策を講じないという猶予はもはや許されない状況になりつつあります。企業のインフラは、現状維持を目的とするインフラから、自社のビジネス上の競争優位性に資する、革新的テクノロジーを時流に沿った形で取り込めるプラットフォームへの転換が求められています」

I&O部門は、従来型インフラの維持戦略において、ビジネス成果に対する有効性の検証と説明責任をより一層求められるようになる。また、ビジネス部門におけるクラウド・サービスの利用意向もさらに高まり、I&O部門がコントロールできない、ビジネス部門の利用者主体で導入されたプラットフォーム・インフラが急増する可能性がある。

青山氏は次のように補足しています。

「I&Oリーダーは、オンプレミスの従来型インフラについて一度はゼロベースで考え、企業のビジネス目標やインフラ利用者のニーズに基づいて、どのような価値を提供すべきか、あるいはどのような価値が求められているかを明確にする必要があります。また、老朽化したインフラの『終活プロジェクト』を立ち上げ、システム・インテグレーターやベンダーから受ける提案をうのみにせず、自社のサービス基盤として求められるテクノロジーや手法は何かを自律的に判断できるようにする必要もあります」