ガートナージャパンは9月10日、「生成AIのハイプ・サイクル:2024年」を発表した。
ガートナーの「ハイプ・サイクル」は、新たに登場したテクノロジーがどのような軌跡をたどって普及するかを示したもので、「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」の5つのフェーズに分かれる。
各テクノロジーの「主流の採用」までの年数は以下のとおり。今後5年までに大半の技術が集中しており、生成AIが多面的かつ急速に進化することが予想されている。
主流の採用まで2年未満
・生成AI対応仮想アシスタント
・生成AIワークロード向けアクセラレータ
・検索拡張生成(RAG)
・生成AI対応型アプリケーション
主流の採用まで2~5年
・大規模言語モデル(LLM)
・シンセティク・データ
・ファウンデーション・モデル
・AI拡張型ソフトウェア・エンジニアリング
・プロンプト・エンジニアリング
・AI TRiSM
・オープンソースのLLM ★
・マルチモーダル生成AI ★
・GraphRAG
・自己教師あり学習
・組み込みモデル
・モデル・ハブ
・AIスーパーコンピューティング
・人間のフィードバックによる強化学習
・偽情報セキュリティ
主流の採用まで5~10年
・ModelOps
・ベクトル・データベース
・転移学習
・自律エージェント ★
・ドメイン固有の生成AIモデル ★
・AIシミュレーション
・生成AIアプリケーション・オーケストレーションのフレームワーク
・エッジ生成AI
上記のうち★印を付けた技術について、ガートナーではとくに説明を付している。
マルチモーダル生成AI
マルチモーダル生成AIとは、テキスト、画像、音声、動画など複数のタイプのデータを一度に処理する生成AIのこと。ガートナーでは2027年までに生成AIソリューションの40%がマルチモーダルになる、と予測している。
オープンソースのLLM
オープンソースLLMについてガートナーは、次のように述べている。「オープンソースLLMは、カスタマイズ性の高さ、プライバシーおよびセキュリティのコントロール性の高さ、モデルの透明性、共同開発を活用できる機能、ベンダー・ロックインを抑制する潜在力を通じて、イノベーションの可能性を高める。そして最終的に、低コストで学習しやすい小規模モデルを企業にもたらし、ビジネス・アプリケーションと中核的なビジネス・プロセスを実現する」
ドメイン固有の生成AIモデル
ドメイン固有の生成AIモデルとは、特定の業界、ビジネス機能、タスクに最適化された生成AIモデルのこと。ユースケースによりフィットし、精度、セキュリティ、プライバシーを向上させて、よりコンテキストに沿った回答を提供できる。これにより、高度なプロンプト・エンジニアリングが不要になり、ハルシネーションのリスクを下げることができる。
自律エージェント
自律エージェントとは、人間の介入なしで定義された目標を達成する複合システムのこと。さまざまなAI技術を駆使して、環境におけるパターンを識別し、意思決定を行い、一連のアクションを実行し、アウトプットを生成する。自律エージェントは環境を学習し続けることで性能が向上し、より複雑なタスクに対処できるようになる可能性を秘めている。
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