ガートナージャパンは6月10日、日本企業のデータ利活用に関する調査結果を発表した。
2020年11月の調査で、「回答者の60%超はデータ利活用に対して課題意識を持っており、そのうち20%超が組織全体の課題 (経営課題) として認識している」と、データ活用への高い関心を示しているものの、「ほとんどの日本企業は、データ利活用から十分なビジネス成果を得られていない」現状という。
データ活用が成功した要因は、「活用できるデータの種類・量・品質」が59%と群を抜いて高く、「データ分析のスキル」「ビジネス部門の理解や協力」が2位、3位となった。これについてガートナーの一志達也氏(アナリスト、ディレクター)は「違和感のない結果」と次のように指摘する。
「『活動できるデータの種類・量・品質』が成功要因として最も多く挙げられたのは順当と言えます。データを利活用してビジネス成果を得たくても、肝心のデータや利活用できる環境がなかったり、不備が多かったりするのでは取り組みようがありません。また、データを分析するスキルを備えた人材がいなければ、ビジネス成果を得るには至らないことから、『データ分析のスキル』『ビジネス部門の理解や協力』を挙げる回答者が多かったことも違和感のない結果と言えるでしょう」
これに対して阻害要因は、「スキルや人員の不足」と「組織全体のデータ・リテラシー不足」がトップに並んだ。
「組織全体のデータ・リテラシー」について見ると、今回の調査結果では、それが成功要因であるという回答は多くない(11%)。その一方、阻害要因としては58%という結果である。このことから、「分析スキル」は成功のための重要な要因と認識されているのに対して、「組織全体のデータ・リテラシー」は認識されていないことが見て取れる。
「組織全体のデータ・リテラシー」を向上させるための考え方として、一志氏は次のように提言する。
「データ・リテラシーの向上を目指すに当たっては、企業はまず組織全体のリテラシーがどうあるべきか (目指すレベルや目的) を明らかにして戦略的に取り組むことが重要です。継続的にリテラシーを測定し、データ利活用によるビジネス成果との相関を調べれば、自ずと成功に貢献しているかどうかが分かります。初期段階からスキルやリテラシーの大幅な向上を目指すのではなく、一部の人員のみに専門的な分析スキルを先行的に獲得させることを目指すのがよいでしょう。その後、育成した人員でカバーできる範囲に分析対象を絞り、経験を積みながら、人員の拡充も含めて取り組みを拡大 (横展開) させていくべきです」
[i Magazine・IS magazine]