Gartnerは7月27日(米国時間)、今年1~2月に実施した「カスタマーサービス&サポート調査」の結果を発表した。顧客サービス担当者50人を対象とした調査という。
それによると回答者の54%が、「チャットボット」「VCA(仮想顧客アシスタント:SiriやGoogle Nowなど)」「その他会話型AIプラットフォーム」を顧客サービスに利用中で、約4分の1の組織が2027年までにチャットボットを主要な顧客サービスチャネルにするとしている。
Gartnerはこの成長の理由として、「正しく設計されたチャットボットは、人による対応よりも低コストで顧客体験を向上させ、ポジティブな顧客感情を促進できる」という導入メリットを挙げる。
その一方、回答者らは「チャットボットの導入効果を明確に評価できないでいる」という現状も指摘している。そのため企業は、「チャットボットの展開を最小限に抑えるか、投資を抑制している」という。また、企業が導入すべきチャットボットのタイプ、デザイン、作り込みは「企業によって大きく異なる」ので、ある企業の評価指標(メトリクス)を他社のそれと比較するのは「効果がないばかりか誤解を招く可能性がある」とも述べている。
チャットボットの導入・展開にあたって、Gartnerでは次の5点を提唱している。
・ユースケースと提供するサービス内容に基づき、チャットボットの導入戦略を策定する。
・チャットボットの使い勝手を向上させる。それにより顧客の封じ込めを強化し、顧客の労力を軽減する。
・チャットボットのメトリクス(目標達成率、放棄率、会話ステップ、処理時間など)を特定する。
・メトリクスを、チャットボットの設計や複雑さを考慮して、求めるチャットボットのパフォーマンス・レベルやベースラインに適合させる。
・メトリクスをレビューするタイミングを設定する。
Gartnerは今回のニュースリリースとは別に、今年6月に「The Chatbot Deployment Guide」という導入ガイドを公開している。それによると、チャットボットは「過去10年間に進化し、サービス組織のセルフサービス戦略において重要な技術要素となっている」とし、以下の調査結果を紹介している。
・CIOの79%は、セルフサービスへの投資が増加すると予想している。
・企業の50パーセントは、ボットやチャットボットの作成に、従来のモバイルアプリの開発よりも多くの年間費用を投じると考えている。
・27%の組織がチャットボットを導入している。
・今後2年間で、38%の組織がチャットボットの導入を計画しており、チャットボットテクノロジーの導入が40%増加する。
・ニュースリリース「Gartner Predicts Chatbots Will Become a Primary Customer Service Channel Within Five Years」(英語)
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2022-07-27-gartner-predicts-chatbots-will-become-a-primary-customer-service-channel-within-five-years
・「The Chatbot Deployment Guide」(英語)冊子ダウンロード可能
https://www.gartner.com/en/customer-service-support/trends/customer-service-chatbot-guide
[i Magazine・IS magazine]