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日本企業は「デジタル化」を「IT化/情報化」と混同。混乱が生じている ~ガートナー「日本のデジタル化に関する展望」を発表

ガートナージャパンは3月14日、「日本のデジタル化に関する展望」を発表した。「2025年まで、日本で『デジタル化』と呼ばれるものの7割以上は、従来のIT化/情報化とほとんど変わらない取り組みのままとなる」という厳しい指摘の展望で、IT部門とビジネス部門との関係、IT人材の育成について再考を促す内容である。

また今回の「展望」は、同社が昨年(2021年)10月に発表した調査結果(日本企業のデジタル・ビジネスへの取り組み)から得られた“新たな洞察”とも言えるもので、示唆に富む。昨年10月の調査結果では、「大多数の日本企業がデジタル・ビジネスに取り組んでいる状況が明らかになりました」「デジタル化/電子化への取り組みは加速しています」と、同社は「デジタル化」のトレンドを捉えていた。それを今回、修正した形である。

同社では「デジタル化」をビジネスや組織文化にアプローチすることと捉え、「従来のIT化/情報化」と区別している。

 *2021年10月発表の「デジタル・ビジネスへの取り組みに関する調査結果」はこちら

今回の展望について同社は、「デジタル化がバズワードとなった結果、今は『何でもデジタル化』と捉えられ、デジタル化の意味がかつてのIT化/情報化と混同されているケースも多くみられるなど混乱が生じている」「企業の経営層が、デジタルへの対応の強化を戦略として位置付けても、実際には取り組みやすい従来のIT化や情報化の領域における対処にとどまり、本質的なビジネス変革を目指す動きが停滞することが考えられる」と指摘し、「進め方がまったく異なるIT化/情報化への方向性と、ビジネス変革の方向性を明確に区別して取り組む必要がある」と述べている。

ただし、明るい兆しも見えている。企業がデジタル化を推進するには「IT部門 (あるいはDX部門) とビジネス部門の連携や協業が必要不可欠」だが、同社が2016前から実施している調査の推移では「明らかに改善されつつある」という。

IT部門とビジネス部門間の信頼関係を尋ねた調査では、「密に協業できている」という回答が「薄い/ない」を2020年までは下回っていたが、2021年に追い抜いた(下図)。

日本のIT部門とビジネス部門の協業体制 出典:Gartner
日本のIT部門とビジネス部門の協業体制 出典:Gartner

同社では、今後も部門間連携の改善トレンドが継続すれば、「2026年までに半数を超える日本の大企業のIT部門は、ビジネス部門と良好な連携を実現する」と予測している。

またIT部門とビジネス部門の協業とともに、IT人材の育成にも触れている。次のような指摘である。

「IT部門の人材にはこれまで以上に人と関わる能力が求められるようになります。さらに人が素早く情報を集め処理する能力やテクノロジでビジネスの変革を進めていく上で、自ら考え、議論し、試し、修正し、成功への道を切り開ける人材を育成していくことは、イノベーションを進める上でも重要になります」

・Gartner、日本のデジタル化に関する展望を発表
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20220314

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