移行準備から
アプリケーション保守までワンストップでカバー
日本オフィス・システムは、1982年に兼松江商(現・兼松)と日本IBMの共同出資により設立された会社で(現在は兼松エレクトロニクスの100%子会社)、これまでに「5000台以上」(同社)のAS/400・IBM iを販売してきた実績がある。
また初期からのシステム・インテグレーション事業に加えて、2000年にハウジング事業、2003年にホスティング事業を開始し、2011年からは「FineCrew クラウド・サービスiC2」(以下、iC2)と呼ぶIBM iクラウドサービスを推進してきた。
同社では2022年に、IBM iビジネスの主軸を「オンプレミスからクラウドサービスへ転換する」という方針転換を実施した。
IBM i事業を統括する楠田剛士氏(ソリューション営業本部ソリューション戦略室室長)はその理由について、「2020年代に入ってからIBM iのお客様の間でオンプレ志向が低下し、クラウドへの移行を本格的に検討する企業が増えました。その背景にはIBM i技術者の不足への対応や今後へ向けてのステップアップという動機がありますが、当社としても蓄積してきたIBM iの技術・リソースをさらに活かすチャンスになり、またクラウドをお客様の課題をより広い視野で解決できる場として捉えていたので“クラウドファースト”への転換を決断しました」と説明する。
同社のIBM iクラウドサービスは、システムの移行準備から企画・設計・構築・移行・運用・アプリケーション保守までを「ワンストップでカバーする」という特徴をもつ。
「システムインテグレーションで培ってきたIBM iの技術・ノウハウを、クラウドサービスでもフルにご提供する考えです」と、楠田氏は強調する(図表1、図表2)。
iC2では、監視サービスとヘルプデスクサービス、リカバリーサービスが標準で提供されている。
「ヘルプデスクサービスは、オンプレミスで20年以上の歴史があり、IBM i Powerに関する当社の知見とノウハウが詰まったサービスです」と、ソリューション営業本部の松木啓輔氏(ソリューション営業本部ソリューション戦略室リーダー)は話す。
2024年夏前に、北海道にデータセンターを新設
同社は現在、都内にiC2用の自社クラウドセンターを設置している。また今年夏前に、北海道にもう1つクラウドセンターを開設する予定という。
「自社でクラウドセンターを維持するのはファシリティ面で大きなコストがかかりますが、お客様のご要望に迅速に対応し、我々が思い描くサービスを提供するには自社センター・自社サービスが最適で、今後も継続する計画です。iC2を開始して以来、1回の計画停止を除いて10年以上、100%の稼働率を維持しています。これも自社センターゆえに可能になる運用形態です」(楠田氏)
最近は、IBM iの移行にあわせてWindowsシステムもクラウド化する例が増加している。「iC2へ移行したIBM iユーザーのうち、約30%はWindowsシステムもあわせて移行されています。オープン系を含めて多様な業務システムをご支援してきた当社の強みを発揮できる分野だと考えています」と、松木氏は語る。
同社は現在、「お客様がクラウドへ移行した後の多様なご要望に対応するために」、多様なパートナーとの提携を模索中で、複数のベンダーと協議も進めている。
「最近は、Power8のEOSやPower関連のハードウェア/ソフトウェアの高額化、IBM iサブスクリプションの影響もあって、クラウドサービスに対するお問い合わせや見積もり依頼が増えています。iC2ビジネスを拡大していくために、サービスの拡充とサポート力の強化、品質の向上を進め、最終的にはお客様のアプリケーションを当社としてサポートできるようにし、安心してIBM iを利用いただく環境を永続的に提供し続けたいと考えています」と、楠田氏は抱負を語る。
[i Magazine 2024 Spring掲載]