LANSA 14で開発した
「e-就業OasiS」をリリース
ニッポンダイナミックシステムズが、IBM i上でLANSAにより開発した勤怠管理ソリューション「e-就業」の発売を開始したのは2001年に遡る。ライセンス販売ではなくASPサービスとして、「e-就業ASP」の提供を開始したのは2005年。最初の発売からかれこれ20年以上にわたり、同社は企業の勤怠管理システムに携わってきた。現在は300社以上、約5万名のユーザーが「e-就業」を利用している。
勤怠管理業務に必要とされる機能を熟知し、どこよりも早くSaaS型のクラウドサービス提供に踏み切ったわけだが、ここ数年、働き方改革の波とコロナ禍を背景にしたテレワークの拡大により、勤怠管理システムへのニーズは大きく高まっている。それを受けて、「e-就業」も前年、前々年対比での売上が好調で、順調な導入が続いているという。
同社は2021年4月に、新バージョンである「e-就業OasiS」をリリースした。開発ツールを「LANSA for the Web」から「LANSA 14」に移行し、「Visual LANSA Web」を利用して、リッチなユーザー・インターフェースの実現に力を入れている。
「労働基準法により従業員の勤怠管理が厳しく定められていますが、実際のところ勤怠管理システムに対する要件や求められる機能は、企業ごとに異なります。そのため、『e-就業ASP』ではクラウドサービスではあるものの、お客様ごとに異なる勤怠管理ニーズにきめ細かく対応するためのカスタマイズを重視してきました。その結果、カスタマイズプログラムが多数生まれ、内部的にはかなり複雑なシステムになっていました。
そこで『e-就業OasiS』では、LANSA 14を利用してユーザー・インターフェース刷新に注力するとともに、プログラムコーディングではなくテーブル設定で、個別ニーズに対応できるように設計しました。それによりお客さまのご要望に短時間に対応可能となり、同時にプログラム構造をシンプル化できると考えました」と語るのは、製品開発の責任者である佐伯琢也氏(SB事業グループ e-就業製品マネージャ)である。
「e-就業OasiS」では、「メーカー設定型」のコンセプトを打ち出している。就業規則や運用ルールについて詳細なヒアリングを実施し、勤怠管理システムへの反映とカスタマイズ、マスターデータの一括登録などを同社側で対応する。これにより、ユーザー側担当者の導入負荷を減らし、短時間での導入を可能にするという。
また新バージョンではテレワーク時代を考慮しつつ、以下のような機能をサポートしている。
◎打刻履歴を利用した出勤状況照会
上長は部下の出勤状況を一覧で確認。管理者は従業員全員分の出勤状況を確認できる。
◎打刻時の「在宅」「出社」回数のカウント
通勤費を出社した回数によって実費精算する、在宅手当を支給するなどのニーズに対応。
◎プロジェクト工数実績管理
日報報告画面で、勤務報告と同時にプロジェクト(仕事)別・作業内容別に工数の入力が可能。従業員各自がどの作業にどのくらいの時間を費やしたかを把握できる。
◎客観的記録の取得との乖離チェック
2019年4月に施行された「客観的記録の取得義務化」に対応し、多様な打刻時刻の取得と、自己申告時刻とのチェックが可能。
◎有休取得状況の照会機能
2019年4月に施行された「年次有給休暇5日の確実な取得」に対応し、社員の年休取得状況をWeb画面で一覧表示できる。
「e-就業OasiS」のリリース以降は、前バージョンからの移行ではなく、新規ユーザーの獲得に成功しているという。
PCのログオン/ログオフツールやAIサーマルカメラと連携
OasiS(オアシス)というネーミングに、新バージョンに向けた「ライフとワークに潤いを」という同社のコンセプトが表現されている。
「当社では、オアシスという言葉がイメージするように、仕事一辺倒ではなく、潤いやいこいの場をもたらしたいとの思いを込めています。ここ最近の勤怠管理システムに対する導入意欲の高まりには、社員の働き方を見える化して、サービス残業の抑制や、在宅勤務でのオンとオフの自覚的な切り替えを促したいと考える経営者の意向があります。
その一方で社員の側では、管理されていることを意識しない、管理されている感覚のない勤怠管理システムが求められています。この両者のニーズを『e-就業OasiS』で実現したいと考えました」と、販売の責任者である富永武文氏(SB事業グループ 統括マネージャ)は語る。
管理されていることを意識させない。これにはたとえば、PCのログオン/ログオフ情報を自動で収集する「ez-PCLogger」と連携し、在宅勤務時でもPCにログオンしたら出勤、ログオフしたら退勤として自動的に管理する仕組みがある。
またAIサーマルカメラと体温検知データを取得・収集・管理する「VI-Thermal」(ヴィンクス)を組み合わせ、体温検知と同時に顔認証を実行して、それを自動的に出退勤の記録データに連携する機能もオプションで提供している。
社員の働き方の見える化と管理されていることを意識させない環境。勤怠管理の新たなニーズに向けて、e-就業は前進していくようだ。
株式会社ニッポンダイナミックシステムズ https://www.nds-tyo.co.jp/
[i Magazine・IS magazine]