日本IBMは3月30日、業界や事業特性ごとに共通して必要となるデジタル変革の共通基盤を提供する「デジタルサービス・プラットフォーム (IBM Digital Services Platform 。以下、DSP)」をIBM Cloudに加え、AWS や Microsoft Azure などのマルチクラウドへ対応させると発表した。
DSPは、業界や事業特性ごとに共通して必要となるDXの共通基盤を提供するソリューション。IBMがあらかじめ構築・テストした業界別の基盤およびガイドと運用の提供により、ユーザーのDXシステム構築の効率化を図ると同時に、堅実な運用を支える。
業務の共通部分をプラットフォームとして提供し、その上にユーザー各社が自社の強みを追加していくことで、最終的なサービスやシステムを構築する「共創」をコンセプトとしている。
2020年に金融サービス向けとして提供を開始したDSPは、戦略やユーザーニーズに柔軟かつ迅速に対応する「変えやすい」、外部サービスの活用や協業を可能にする「つなぎやすい」、データに基づいた意思決定を支える「わかりやすい」という3つの要件を有することで、金融機関の経営に自由度をもたらし、デジタル変革とモダナイゼーションを支援してきた。2023年3月までに28の金融機関で採用されている。
今回発表されたマルチクラウド対応のDSPは、自社に最適なクラウドサービスの選択を可能にするだけでなく、クラウドが本来提供する価値を最大限に引き出すことを目指しているという。
その代表的な例として、新たに提供する「DevSecOpsパイプライン・ビルダー」(IBM Consulting DevSecOps Pipeline Builder)は、迅速かつ柔軟なアプリケーション開発とその展開を可能にする。また「AIを活用したIT運用サービス」(Automated IT Operation Service utilizing AI)は運用監視の自動化と高度化を実現する。
これらの機能・特徴は、金融業界のみならずあらゆる業界での利用が可能。
さらに今後は、さまざまなクラウドやオンプレミスにも提供範囲を拡大していく。特にオンプレミスで最新のクラウド技術を活用するケースが増えているため、クラウドネイティブ技術のオンプレミス活用に対応するDSPを提供し、ハイブリッドクラウドへの需要の高まりに対応していく。
また「業務マイクロサービス」は現在、金融サービス、クレジットカード、ヘルスケアの業務をサービス部品化しているが、今後は保険やヘルスケア、流通、製造などの業界向け、さらに、サステナビリティ、エンタープライズAI、メタバースなどの用途に応じたマルチ・インダストリー・プラットフォームとしてDSPの拡充を進めていく予定としている。
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