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IDCが考える「デジタルファースト戦略を支えるIBM iの役割」とは ~モダナイゼーションに必要な12の要件とIBM iのメリット

IDCは3月、デジタルファースト戦略を支えるIBM iの役割に関するコラムを公開した。

IDCは、IBM i はエンタープライズコンピューティングのための堅実で最新かつ将来性のあるプラットフォームであり、最新の状態に保たれ、組織のモダナイゼーション構想に組み込まれていれば、デジタルファースト戦略をサポートする上で極めて重要な役割を果たせると考えている。

以下にその一部を紹介しよう。

デジタルファーストのビジネス戦略は、ビジネスプロセス、組織、さらには業界全体の根本的な改革を促している。多くの企業にとって、こうした戦略は、ワークフローの改善と分析に基づいてビジネスモデル全体をモダナイゼーションし、よりスマートで高い生産性を獲得するという、より広範な取り組みの一部である。

ただし残念ながら、ハイエンドのエンタープライズ・プラットフォームを持つ組織は、これらのシステムとそのワークロード、アプリケーションをデジタルファースト戦略から除外することが非常に多い。

せいぜい、一部のアプリケーションや業務に手をつけるだけで、残りのプラットフォームのモダナイゼーションは後回しにされる。たとえば、5250画面をより現代的なユーザーインターフェースに置き換えるだけで、プラットフォームの残りの部分はそのままにしておくなど、表面的なモダナイゼーションしか行わない場合もある。

これは、ハイエンドのエンタープライズ・プラットフォームをモダナイゼーションするには、非常に多くのコストや時間が必要で、かつとても複雑だという認識があるためだ。しかしIDC は、このような認識は必ずしも正しくないと考えている。

ちなみにIDCは、2023年にはビジネス収益の大半がデジタル化されると予測している。企業が進めている3大モダナイゼーションは、「エッジとの接続能力」「高度なアナリティクスの実行」「ハイブリッドクラウドへの移行」である。また、プロセスやアプリケーションにAIを組み込むことも上位にランクされており、IDCの調査では、約半数の組織が、企業のワークロードをDevOpsで統合し、APIエコシステムを構築することに取り組んでいると回答している。

モダナイゼーションに必要な12の要件

IDCでは、最新のエンタープライズクラスのプラットフォームとその上で実行されるワークロードに関する12の重要な要件を以下のように特定している。これらの要件は、当面の間は必須であると考えられており、DXの文脈におけるモダナイゼーションの基本的な考え方となっている。

❶性能
データ量、トランザクション量、処理速度やトランザクション速度が逼迫することなく、極めて大きなワークロードを実行できる能力。

❷継続性とコンプライアンス
ハードウェア、ミドルウェア、アプリケーションの各レベルのさまざまな障害に耐え、クラウドやデータセンター全体が故障しても、目立った中断やデータ損失なく処理が継続できる能力。およびプラットフォームに課せられたコンプライアンスに準拠する状況を包括的かつ容易に報告できる能力。

❸変化への対応力
ワークロードを柔軟に展開、拡張、移動、終了する能力(これには、新型コロナパンデミックのような大規模な破壊的事象に迅速かつ包括的に対応する能力も含まれる)。

❹分析力
より優れたセキュリティ、より優れた自動化、AI主導のアプリケーション機能を実現するために、プラットフォームスタックのすべてのレベルでAIを実装することを含めて、リアルタイムにデータを分析する能力。

❺顧客中心
エンドユーザー(消費者、ビジネスパートナー、エコシステム参加者、その他あらゆるタイプのユーザー)に一点集中し、その出発点からすべてのプラットフォーム機能を利用可能にするために必要とされる機能性

❻サイバー攻撃への対応力
組織内外からのシステムに対するあらゆる形態の攻撃に耐え、対抗し、修復する能力。

❼クラウドとの互換性
クラウド(プライベートまたはハイブリッド)上で動作するだけでなく、他の専用またはパブリッククラウドとシームレスに連携して動作する機能。

❽コミュニティベースの(オープンソース)ソフトウェア
オープンソースのソフトウェアソリューションやプログラミング言語をサポートし、開発者が追加のスキルを必要とせずに自由にプラットフォームを活用できる能力。

❾使用量に基づくコスト
コンピュータリソースの実際の使用量に、ほとんどまたは完全に基づく価格設定、および/もしくはライセンススキームが利用可能であること。

➓暗号化能力
現在および将来の暗号解読技術に耐えうる強力な暗号化で、顕著な性能オーバーヘッドなしに、静止時および稼働中のすべてのデータを暗号化および復号化する能力。

⓫環境への配慮
性能を犠牲にすることなく、新世代ごとにプラットフォームの環境負荷を低減する能力。

⓬接続性
データセンター、エッジ、クラウドにある他のインフラや、Web、モバイルネットワーク、業界ネットワークなどのエンドユーザー環境など、社内外の環境に簡単かつ安全に接続する能力。

オンプレミス、ハイブリッド、クラウドのいずれであっても、最新のプラットフォームは、エンドユーザーに最適なサービスを提供するために、これらの要件を満たす必要があり、プロセスのモダナイゼーションを目指すビジネスでは、これらの目標の達成に取り組む必要がある。

IBM i でのモダナイゼーション

IDC は、IBM i を最新の状態に保ち、組織のモダナイゼーションイニシアチブに含めることで、デジタルファースト戦略をサポートする上で極めて重要な役割を果たせると考えている。

IBM i プラットフォームでビジネスを展開するユーザーは、大量のトランザクションを実行し、コアとなるエンタープライズ・データベースを維持するために必要な管理サポートが最小限であること、新しいOSバージョンが登場しても簡単にアップグレードできること、何千もの ISV ソリューションやカスタムアプリケーションが複雑な統合を必要とせずにプラットフォーム上で簡単に実行できること、プラットフォームがオープンソース・フレンドリーで最新の一般言語をサポートしていることを重視している。

OSと仮想レイヤー、トランザクション・システム、データベース、アプリケーション・サーバーの統合といったIBM iの独自性により、企業は、はるかに低い運用コストでイノベーションを実現できる強力で完全に統合された基盤を手にできる。

IBM iのアーキテクチャは、アプリケーション・プロバイダーがソリューションをシンプルに実行するために必要なすべての要素がOSに含まれるというコンセプトに基づいて進化を続けている。

エンドユーザーは、カーネルベースのオペレーティング環境で、一般的に必要とされるインストール、統合、展開、最適化、更新管理といった複雑な作業を行う必要はない。

そのためエンドユーザーにとっては、アプリケーション保守に向けたITスタッフに多額の投資をすることなく、IBM iは緩やかな成長から積極的な成長まで、ビジネスの運営と拡張を可能にするプラットフォームとなる。

IBM i を利用している企業にはまた、古いアプリケーションを新しいバージョンのハードウェアとOSで使い続けられるという安心感がある。IBM iは後方互換性のために設計されている。1980年代に業務に不可欠なコードを書き、最新のIBM Power上で動作するIBM i上で現在もそのコードを活用し続けている成功企業の例もある。

基盤となるPOWERプロセッサに長年にわたって数え切れないほどの変更が加えられているにもかかわらず、こうした機能は実現できている。

IBM i は「レガシー」プラットフォームと呼ばれることがあり、この場合のレガシーとは RPG、COBOL、5250画面、CLであると認識されている。しかし、IBM iプラットフォームは、それ以上の存在である。オブジェクト指向で、セキュリティが組み込まれ、統合データベースで高度に最適化されており、ユーザーはプラットフォーム上でPython、Node.js、Jenkins、モバイルなど、あらゆる最新テクノロジーを利用できる。

IDC では、IBM i のモダナイゼーションは、プロセスの各ステップがデータ駆動型であり、インフラストラクチャ管理、アプリケーションとワークフローの開発と強化など、組織のデジタルモダナイゼーション戦略の大きな文脈の中で理解するという意味で、包括的にアプローチする必要があると考えている。

言い換えれば、モダナイゼーションの対象が本当に最優先事項かどうかを定量的に判断したり、プラットフォームが組織に提供するサービス全体に対してどのような影響を与えるかを考えずに、プラットフォームの一部分をモダナイゼーションしてはならないということだ。

モダナイゼーションは各組織に固有である。それは課題が固有だからではなく、各組織のIT環境とモダナイゼーションのステージに応じて、課題の現れ方が異なるからだということを忘れてはならない。

IBM iモダナイゼーションのメリット 

RPGとCOBOLのモダナイゼーション
ビジネス・アプリケーションにRPG、業務、財務、管理の各システムにRPGやCOBOLといった従来のプログラミング言語を使用している開発者のために、これらの言語は継続的にモダナイゼーションされ、PythonやRubyといった最新言語のような機能を備えている。

PythonやPHPを実行する
IBM i プラットフォームは、Orion や Visual Studio Code などのアプリケーション開発ツールをサポートしており、標準的な手続き型プログラミングやオブジェクト指向プログラミングのGUIを含め、他のプラットフォームと同じような操作感を備え、オープンソース開発者はすぐに生産性を向上させられる。開発者は、IBM i 上で標準的な Python や PHP を実行できる。

オープンソースを実行する
企業はIBM iの内部でAIXカーネルを実行し、必要なときにいつでもUNIXモードに切り替えられる。その結果、IBMのAIXを、IBM iのOS内で、純粋なバイナリ互換で実行できる。これは、このプラットフォーム上でオープンソースソフトウェアを実行する最も効率的な方法と考えられている。ユーザーがオープンソースに移行したいのであれば、Java、Python、Perlのコードを実行できる。

IBM iをクラウドとして実行する
IBM iは従来、マネージドクラウドサービスプロバイダー(MSP)のプラットフォームとして人気があり、たとえば、1つのIBM iライセンスを持つ1つのパーティションで、OSの仮想化機能により、そのパーティション内で複数の企業システムを安全に実行できる。IBM iは、IBM CloudやAWS上で動作するため、パブリッククラウド環境からのサービス呼び出しが可能である。さらに、IBM Power上で動作するOpenStackのバージョンがあり、Linuxを使用するのと同じようにIBM iを利用できる。

IoTとエッジ
IBM iはPythonをサポートしており、メーター、モニター、センサーはPythonで動作することが多いため、開発者はIoT処理のような機能性を構築できる。IoTシステムをIBM iに接続する機能は、そのようなデバイスからデータを収集するアプリケーションを構築するために使用されている。

セキュリティ
IBM iのセキュリティは、他のプラットフォームのように、ユーザーがプラットフォームにインストールされたすべてを監視するさまざまなセキュリティ・ソリューションを追加するような方法とはまったく異なる。IBM iでは、セキュリティはオペレーティング・システム・アーキテクチャの一部である。

デジタル化が進む今日の世界では、デジタルファースト戦略にIBM iを含めることを避けては通れない。世界中の何千もの企業で、あまりにも多くの重要なアプリケーションがIBM i上で稼働しており、これらのアプリケーションは、新しい機能とサービスを提供するために、継続的モダナイゼーションに含まれるプラットフォームを必要としている。

執筆者 ピーター・ルッテン(リサーチ・バイス・プレジデント、インフラストラクチャー・システム、プラットフォーム・アンド・テクノロジー・グループ、パフォーマンス・インテンシブ・コンピューティング・ソリューション・グローバル・リサーチ・リード)

「How IBM i Can Play a Pivotal Role in Supporting a Digital First Strategy」(英語)
https://www.rocketsoftware.com/ibmi-idcspotlight

 

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